ナント美術館

ナント美術館（Musée des Beaux-Arts de Nantes）は、フランスのナント市に所在する重要な美術館です。その歴史は1801年、ナポレオン・ボナパルトによる「シャプタル令」によって、フランス国内の14の地方美術館の一つとして設立されたことに始まります。この法令は、パリの美術館に収容しきれなくなった美術品を地方都市に分散させる目的で発令されました。王政時代からの美術品、亡命した富裕層から没収された美術品、さらにはフランス軍が海外で獲得した美術品などが、その対象となりました。

当初、美術館のコレクションは、1810年に外交官であり美術コレクターでもあったフランソワ・カルクール氏のコレクションが購入されたことで、大きく拡充しました。その後、美術館は1900年に現在の建物に移転し、2011年から2017年にかけて大規模な拡張工事が行われました。この改修工事により、美術館の収蔵品をより良い環境で展示できるようになり、訪問者にとっても快適な空間となりました。

ナント美術館のコレクションは、13世紀から現代までの美術品を網羅しており、その幅広さが魅力です。特に、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの『聖ヨセフの夢』、『聖ペテロの否認』、『ハーディ・ガーディ弾き』の3点は、美術館の代表的な所蔵品として知られています。これらの作品は、ラ・トゥールの独特な光と影の表現が際立っており、訪れる人々を魅了します。

その他にも、ドミニク・アングル、ギュスターヴ・クールベ、ポール・シニャック、ワシリー・カンディンスキー、マルク・シャガールなど、著名な画家の作品が数多く所蔵されています。これらの作品は、それぞれの時代や画家の特徴を捉えており、美術史の流れを辿る上で貴重な資料となっています。

また、ナント美術館は国際的な美術交流にも積極的で、日本でも過去に何度か展覧会が開催されています。1995年には福岡市[[美術館]]で「魅惑の19世紀フランス絵画: ナント美術館展」が、2002年には新潟市[[美術館]]で「ナント美術館展」が、そして2012年には浜松市[[美術館]]で「ナント美術館名品展」が開催され、多くの日本の美術ファンにナント美術館のコレクションが紹介されました。これらの展覧会は、フランス美術への関心を高め、文化交流を深める上で大きな役割を果たしました。

ナント美術館は、その歴史的な背景、豊富なコレクション、そして国際的な活動を通じて、美術愛好家にとって欠かせない存在となっています。美術館のウェブサイトでは、最新の展覧会情報やイベント情報が掲載されており、訪問を計画する際には参考になります。

参照：
Homepage des Museums
Informationen zum Museum auf der Seite der Stadt (フランス語)
Angaben zum Museum auf der Seite des französischen Kulturministeriums (フランス語)
www.museedesbeauxarts.nantes.fr

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