ナンバー23

映画『ナンバー23』：現実とフィクションの狭間で揺れる男の物語

2007年公開のアメリカ映画『ナンバー23』（原題：The Number 23）は、ジム・キャリー主演によるスリリングなサスペンス作品です。動物管理局で働くウォルター・スパロウは、妻から誕生日プレゼントとして「ザ・ナンバー・23」というミステリアスな小説を贈られます。

この小説を読み進めるうちに、ウォルターは主人公の探偵フィンガリングと自身の驚くべき共通点に気づき始めます。誕生日、運転免許証番号、社会保障番号、さらには名前のアルファベットの順番を数字に置き換えて足し算すると、すべて23という数字に繋がっているのです。

ウォルターの日常は、次第に「23」という数字に支配されていきます。日付、時間、車のナンバープレート、本のページ数、エレベーターの階数、あらゆるものが「23」に関連付けられ、彼の目は「23」という数字ばかりに捉えられるようになります。

例えば、ウォルターが妻と出会ったのは9月14日（9+14=23）、結婚式は10月13日（10+13=23）。住んでいる家の番地1814も、様々な計算方法で23という数字が導き出せます。さらに、地球の地軸の傾きが約23.5度であること、人体の染色体の数が46（23×2）であること、歴史上の出来事の日付や人物名にまで「23」という数字を見出してしまうのです。

ウォルターは、小説の主人公フィンガリングが犯したとされる殺人事件が、現実世界で実際に起こっていたことを突き止めようとします。物語は現実とフィクションの境界線を曖昧にし、ウォルターの精神状態は次第に不安定になっていきます。彼は、小説の匿名の著者「トップシィ・クレッツ（Topsy Kretts）」という人物を追い求め、自身の運命に挑むことになるのです。

この映画は、単なるサスペンスにとどまらず、数秘術や偶然の一致、現実と虚構の混在といったテーマを巧みに織り交ぜています。数字の「23」という一見すると無意味な符号が、ウォルターの人生に異常なまでに影響を与えることで、観る者に強い印象を与えます。

ジム・キャリーは、徐々に狂気に染まっていくウォルターを、繊細かつ巧みに演じています。彼の演技は、観客を物語の中に引き込み、ウォルターと共に「23」の謎を追いかける体験をさせてくれます。

『ナンバー23』は、予測不可能な展開と、観終わった後も考えさせられる余韻を残す、傑作サスペンス映画と言えるでしょう。数秘術に興味がある人にも、そうでない人にも、強くおすすめしたい作品です。

キャスト

ウォルター・スパロウ/フィンガリング：ジム・キャリー
アガサ・スパロウ/ファブリツィア：ヴァージニア・マドセン
ロビン・スパロウ：ローガン・ラーマン
その他

関連事項

23エニグマ
フィンガリング
* 逆行性健忘

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