ナーシル・ジャング

ナーシル・ジャングの生涯と業績

ナーシル・ジャング（ウルドゥー語: نصیرجنگ）は、1712年2月16日に生まれ、1750年12月16日に亡くなったインドのデカン地方に位置するニザーム王国の第2代君主です。彼の治世は1748年から1750年までの短い期間でしたが、その政治的動きはニザーム王国の歴史に大きな影響を与えました。

ムガル帝国との関係

ナーシル・ジャングは、その父であるニザーム王国の創設者アーサフ・ジャーが1748年に亡くなった際、国を守るために即座に行動を起こしました。当時、長男のガーズィー・ウッディーン・ハーンはデリーの宮廷で父の代理を務めており、ナーシル・ジャングはこの機会を捉え、アウランガーバードを掌握しました。彼はニザーム王国の軍および宮廷の貴族たちの支持を取り付けることで、国庫を掌握し、「ニザーム」としての地位を獲得しました。さらに、1749年2月4日にはムガル帝国からその権利を正式に認められました。

この時期、ナーシル・ジャングは国を一つにまとめ、権力を確立するための努力を続けました。しかし、彼の治世に対する挑戦はすぐに現れました。彼の甥であるムザッファル・ジャングはこの状況に強く反対し、当時の政治情勢を複雑にしました。

第二次カーナティック戦争

1748年の夏、ナーシル・ジャングに対抗する動きが強まります。ムザッファル・ジャングはフランスのデュプレクスと連携し、チャンダー・サーヒブとも結託しながら反攻の姿勢を強めました。これに対抗するため、ナーシル・ジャングはイギリス側のムハンマド・アリー・ハーンと同盟し、1750年1月に南インドのタミル地域へと進軍しました。彼はこの戦争を通じて、ニザーム王国の影響力を維持し、国を防衛しようと試みました。

最期と遺産

しかし、政治的な争闘は続き、1750年12月6日、ナーシル・ジャングはカダパのナワーブであるヒンマト・ハーンに襲撃され、命を落としました。この暗殺は、ナーシル・ジャングが抱えていた権力の脆弱さを象徴する出来事となりました。彼の短い治世は、王国の内外での力の争奪が激化していたことを思い起こさせます。

結論

ナーシル・ジャングは、ニザーム王国の重要な君主の一人として歴史に残ります。彼の治世は短命でしたが、ムガル帝国との関係や南インドにおける戦争における役割は、今なお研究の対象となっています。彼の顕著な政治的行動や、当時の複雑な国際情勢が彼の人生に多くのドラマをもたらしたことは間違いありません。

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