ナワーブ

ナワーブ（Nawab）とは

ナワーブとは、インドにおいて使われる称号であり、主に地方の統治者や貴族に付与されるものです。この言葉の起源はアラビア語で、「代官」を意味し、時には太守と訳されることもあります。また、女性の場合はナワーブ・ベーグム（Nawab Begum）と呼ばれ、この称号はムガル帝国の支配下にあった地域の有力者たちに与えられていました。

歴史的背景

ナワーブという称号は、実際にはムガル帝国が存在していた時代、特に18世紀以降に一般的に使われるようになりました。それ以前は「スーバダール」という用語が使用されていました。18世紀に至ると、アワド太守（アワドのナワーブ）、ベンガル太守（ベンガルのナワーブ）、カルナータカ太守（アルコットのナワーブ）が特にこの称号を名乗るようになります。

また、ムガル帝国が衰退し、地域の自立が進む中で、多くのムスリム領主がナワーブの称号を自由に使用しました。バハーワルプル、ボーパール、ジュナーガド、ラームプルなどがその例です。

イギリス統治下におけるナワーブ

イギリスの統治時代には、ナワーブは藩王の称号の一部として位置づけられました。この文脈で、ナワーブはニザームやマハーラージャと同じカテゴリーに分類され、地域の統治者たちに尊敬され使用され続けました。興味深いことに、イギリス人の富裕層の中には、ナワーブという称号にあやかって「ネイボッブ」というあだ名が付けられることもありました。これは、名声や裕福さを強調する言葉として使われ、時には皮肉を持って受け取られることもありました。

ナワーブの主な種類

ナワーブという称号を持つ地域には多くの例がありますが、特に有名なものを以下に挙げます：

• - アワドのナワーブ（アワド太守）
• - ベンガルのナワーブ（ベンガル太守）
• - アルコットのナワーブ（カルナータカ太守）
• - バハーワルプルのナワーブ
• - ジュナーガドのナワーブ
• - ボーパールのナワーブ
• - バンガナパッレのナワーブ
• - トーンクのナワーブ
• - サヴァヌールのナワーブ
• - スーラトのナワーブ
• - ラームプルのナワーブ

これらのナワーブはそれぞれの地域で重要な政治的、文化的な影響を持ち、歴史的な背景に彩られた存在です。彼らはその地域社会において統治者としての責任や役割を果たし、多岐にわたる分野で貢献してきました。

参考文献・関連項目

ナワーブについての情報は、以下の文献で詳しく取り扱われています。

• - 「ナワーブ」ブリタニカ国際大百科事典
• - 「ナワーブ」世界大百科事典 第2版
• - 秋田茂著『ネイボッブ-その虚像と実像-』、川北稔、指昭博編『周辺からのまなざし』、山川出版社、2000年

また、ナワーブと関連する用語としてパーディシャー、ハーン、サーヒブ、ネイボッブがあります。これらの用語もインドの政治的・社会的な歴史を理解する上で重要なキーワードと言えるでしょう。

もう一度検索