ナーベレジヌイェ・チェルヌイ

ナーベレジヌイェ・チェルヌイ：カマ川沿いの工業都市

ナーベレジヌイェ・チェルヌイ（ロシア語: На́бережные Челны́; Naberezhnye Chelny, タタール語: Яр Чаллы, Yar Çallı）は、ロシアのタタールスタン共和国に位置する工業都市であり、首都カザンに次ぐ第二の都市として知られています。2021年の人口は約54万8千人を数えます。

地理と名称

カザンから東へ約225キロメートル、ウラル山脈西麓を流れるヴォルガ川の支流、カマ川の左岸（南岸）に位置しています。都市の名前はロシア語で「河岸の船」、タタール語で「チャルの岸」を意味し、「チャル」はブルガール語で「石でできた」という意味を持ちます。

歴史

ヤール・チャルの町は1680年のタタール人の記録に登場しますが、1172年にヴォルガ・ブルガールの町として建設されたという説もあります。しかし、近年の考古学調査では14世紀以前の遺跡は見つかっておらず、ヴォルガ・ブルガール時代からの存在は確認されていません。ロシアの記録には1626年にナーベレジヌイェ・チェルヌイの名で初めて登場しました。

19世紀までは漁業と交易を中心とした村落でしたが、20世紀初頭に工場が操業を開始し、1930年に市制を施行。1970年代にはカマ自動車工場（KAMAZ）を中心とする巨大自動車工業コンビナートが建設され、急速に発展を遂げました。1989年には人口が50万人を突破しています。1982年には一時的にブレジネフと改名されましたが、1988年に元の名前に戻されました。

経済

ナーベレジヌイェ・チェルヌイは自動車製造と機械工業が主要産業であり、KAMAZやZMAといった企業が主な雇用主です。KAMAZの広大な敷地には産業団地が形成され、多くの中小企業や自動車部品工場が集積しています。また、カマ川を堰き止めたニジネカムスク・ダムの水力発電所があり、市内の工場や家庭に電力を供給しています。その他、金属工場、建設工業、食品工業なども立地しています。

交通

ロシア連邦道路M7沿いに位置し、カマ川対岸のイェラブガと繋がっています。カマ川北岸にはメンデレーエフスク、南岸にはニジネカムスクといった工業都市があります。河川港湾、国際空港（ベギシェヴォ空港）、鉄道駅などが市外と結び、市内交通には路面電車（ナーベレジヌイェ・チェルヌイ市電）が利用されています。

文化・スポーツ

カザン大学分校、ヴォルゴグラード・スポーツ大学分校、師範大学、スポーツ大学、技術大学などが立地しています。サッカークラブ、KAMAZナーベレジヌイェ・チェルヌイは1981年に設立され、ロシア1部リーグでプレーしています。

ナーベレジヌイェ・チェルヌイは、自動車産業の発展とともに成長してきた都市であり、その歴史と文化は深く結びついています。

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