ニガヨモギ (聖書)

ヨハネの黙示録におけるニガヨモギ：苦味を象徴する星

ニガヨモギ（英語: Wormwood）は、ヨハネの黙示録に登場する星であり、その名は苦味を象徴するものとして知られています。古代ギリシャ語では「アプシンシオン」または「アプシントス」と呼ばれていました。

聖書におけるニガヨモギ

旧約聖書

旧約聖書では、ニガヨモギに相当する言葉が7回登場し、いずれも苦さを意味しています。英語訳聖書では「wormwood」として7回言及され、これはヘブライ語の「لعנה」（呪いの意味も持つ）を翻訳したものです。

新約聖書

新約聖書では、ヨハネの黙示録8章11節に一度だけ登場します。

この箇所で使用されているギリシャ語は、苦味のあるものを指すアルテミシア属の植物を暗示していると考えられています。英語の「ワームウッド」は、腸内寄生虫を駆除するために使用される、この植物から作られる暗緑色のオイルも意味します。黙示録では、ニガヨモギは苦くなってしまった水を象徴しています。

解釈

ニガヨモギは様々な解釈がなされており、政治史や教会史における重要人物を指すとする説や、天空の存在を指すとする説があります。

『聖書の辞典』では、「ニガヨモギと呼ばれる星は、堕落した有力な君主、天使、楽器を表している」と解釈されています。また、イエス・キリストを指すという解釈もあり、明けの明星であるイエス・キリストの再臨を象徴するとも考えられています。

歴史主義的解釈

セブンスデー・アドベンチスト教会などの宗派や、神学者のマシュー・ヘンリ、ジョン・ジルらは、黙示録の記述を人類史における過去の出来事の象徴として捉えています。ニガヨモギについては、アッティラ王率いるフン族の軍勢を意味するとする歴史主義者も存在します。彼らは、この預言の受容史とフン族のヨーロッパ侵攻の歴史が時代的に一致することを根拠としています。他にも、アリウス、コンスタンティヌス1世、オリゲネス、ペラギウスなどの名前が挙げられます。

その他の解釈

多くの聖書学者は、「ワームウッド」という言葉を、困難な時代に地に満ちる苦しみを象徴的に表現したものと解釈しています。ニガヨモギ（Artemisia absinthium）やオウシュウヨモギ（Artemisia vulgaris）などがこの植物に該当し、聖書の中でも特に苦いものを指す比喩として用いられています。

興味深いことに、ニガヨモギに相当するウクライナ語の「チョルノーブィリ」は、チェルノブイリ（キエフ州の都市）のウクライナ語名でもあります。

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