オリゲネス

オリゲネスについて

生涯

オリゲネス（Origenes Adamantius, 生年：185年頃 - 没年：254年頃）は、古代キリスト教における重要な神学者であり、アレクサンドリア学派の中心的存在でした。エウセビオスの『教会史』によると、オリゲネスは裕福なキリスト教徒の家庭に生まれ、父のレオニデスから幼い頃から聖書の教えを受けました。彼の父はキリスト教徒迫害の際に殉教し、オリゲネスも自らの殉教を望みましたが、母の助けにより思い留まりました。その後、彼は学者アンモニオス・サッカスに師事し、ギリシア哲学を学ぶことになります。

オリゲネスは、アレクサンドリアにて『ディダスカレイオン』というキリスト教学校を設立し、教えを広めました。この学校は主教の認可を受けて、アレクサンドリア学派の重要な拠点として発展しました。しかし、アレクサンドリアの主教デメトリオスとの対立により、オリゲネスはパレスティナのカイサリアへ移り、そこで新たに学校を開設しました。さらに、彼の福音の精神を体現するために、自ら去勢したという説も存在しますが、その真偽は不明です。

249年、ローマ帝国のデキウス帝による迫害の中、オリゲネスは逮捕され、厳しい拷問を受けました。最終的に彼は解放されたものの、獄中で体調を悪化させ、数年後に亡くなりました。

思想

オリゲネスの思想は、師であるクレメンスや新プラトン主義からの大きな影響を受けていました。彼はプラトンの『ティマイオス』と旧約聖書『創世記』の記述を統合し、「創造とは神が無から自らの存在を分かち与える行為である」と主張しました。著作『諸原理について』では、神、世界、人間、神への帰還といったテーマが多面的に論じられています。彼の特徴的な手法は、聖書の記述を比喩的に解釈する比喩的聖書解釈です。

オリゲネスの著作は非常に多岐にわたるものの、553年には異端宣告を受け、多くの作品が失われました。その疑念の根源は、人間の救済に関する独自の考え、先在の魂の存在、また三位一体の理解における従属的見解に起因しています。オリゲネスは、全人類の完璧な救済について述べたため、自由意志との矛盾が指摘されたり、彼の哲学が後の教父たちへの影響を懸念されるなど、複雑な評価を受けました。

主要な著書

オリゲネスの著作の中には、次の名作があります：

• - 『諸原理について』：オリゲネスの代表作で、比喩的聖書解釈に関する探求が特徴です。内容は以下の四つの巻に分かれています。

1. 神（第一原理）と霊的な存在について
2. 物質世界、罪、救いについて
3. 徳、自由（神への回帰）について
4. 方法論的反省と源泉について

• - 『ヘクサプラ』：旧約聖書を六つの異なるテキストで比較するもので、聖書の発音についても知ることができます。

彼の継続的な影響は、キリスト教神学及び思想史において非常に重要であり、後世の神学者に対する指導的な存在となりました。

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