ニコライ・エフメノフ

ニコライ・アナトリエヴィチ・エフメノフは、1962年4月2日にモスクワで生まれ、ロシア海軍の軍人としてそのキャリアを築きました。最終階級は海軍大将で、2019年5月から2024年3月までロシア海軍総司令官という要職を務めました。彼の経歴は、潜水艦乗りとしての経験と、その後の艦隊指揮官としての昇進、そして海軍トップへの就任という、海軍軍人としての典型的なキャリアパスを示しています。

エフメノフは1982年から1987年まで、潜水艦航法高等海軍学校で学びました。卒業後は太平洋艦隊原子力潜水艦航行部隊の電子航行部門の指揮官に任命され、1987年から1991年までこの任務に従事しました。その後、1995年から1997年にかけてクズネツォフ海軍大学校で学び、1997年から1999年には太平洋艦隊の弾道ミサイル潜水艦を指揮しました。1999年から2006年にかけては、太平洋艦隊第25潜水艦隊の参謀長、副司令官、そして司令官を歴任しました。また、2001年から2003年までロシア連邦軍参謀本部軍事アカデミーで学び、軍事戦略に関する知識を深めました。2012年には、北方艦隊の副司令官に就任し、2016年には司令官に昇進。さらに2017年には海軍大将へと昇進を重ね、着実にキャリアを積み重ねていきました。

2019年5月3日、エフメノフはウラジーミル・コロリョフ海軍大将の後任として、ロシア海軍総司令官に任命されました。この就任は、彼のこれまでの軍歴と実績が高く評価された結果と言えるでしょう。同年11月には日本を訪問し、海上幕僚長の山村浩との会談を行いました。この会談で、両者は日露戦争でロシア艦隊を打ち破った東郷平八郎の肖像画を背景に写真撮影を行い、これが論争を巻き起こしました。この出来事は、歴史的な背景と現代の関係性を象徴する出来事として、注目を集めました。

2024年3月10日、ロシアの複数のメディアは、ロシア当局の関係者の話として、エフメノフがロシア海軍総司令官を辞任し、後任としてアレクサンドル・モイセエフ大将が着任すると報じました。同月19日には、国営ロシア通信が、モイセエフが海軍の総司令官代行に就任したと報道しました。これにより、エフメノフのロシア海軍総司令官としての任期は終了しました。

また、エフメノフは、2022年2月に欧州連合の制裁リストに掲載されています。これは、彼が「ウクライナの領土保全、主権、独立、およびウクライナの安定と安全を損ない、脅かす行動と政策を積極的に支持し、実行している責任がある」と判断されたためです。この制裁は、彼の政治的立場と行動が国際社会から批判的に見られていることを示しています。

エフメノフは、その軍歴の中で数々の栄誉を受けています。2016年にはアレクサンドル・ネフスキー勲章、2006年にはロシア武功勲章、2015年にはロシア海軍功績勲章を授与されています。これらの勲章は、彼の軍事的貢献と功績を称えるものです。ニコライ・エフメノフは、ロシア海軍の歴史において重要な役割を果たした人物の一人と言えるでしょう。

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