ニコライ・ミハイロフスキー

ニコライ・ミハイロフスキーは、1842年に生まれ、1904年に没したロシアの著名な文学評論家、社会思想家であり、ナロードニキ運動の理論的支柱の一人です。彼の思想は、当時のロシア社会における変革の方向性を示す上で重要な役割を果たしました。

生涯

ミハイロフスキーは、サンクトペテルブルク鉱山技術専門学校で学びましたが、学生運動に参加したことが原因で退学処分を受けました。その後、彼は文筆活動に専念し、『夜明け』、『予約誌』、『Гласный суд』、『一週間』、『現代評論』といった様々な雑誌に寄稿しました。1867年には、プルードンの『フランスの民主主義』の翻訳を出版し、思想家としての活動を本格化させました。

1868年からは、『祖国の記録』誌の編集に携わり、ネクラーソフの死後（1878年）は、サルトゥイコフ・シチェドリン、グリゴリー・エリセーエフと共に編集を担当しました。1879年には、人民の意志党と接近し、党指導部との会合に参加しました。しかし、1884年に『祖国の記録』が発行停止になると、『北方の使者』と『ロシアの思想』を統合し、『ロシア報知』紙を創刊しました。1882年から1891年の間はサンクトペテルブルクを追放されましたが、革命組織との連絡を継続しました。1892年には、短期間『ロシアの富』誌の編集に携わりました。生涯の最後の10年間は、マルクス主義者との激しい論争に費やしました。ミハイロフスキーは62歳で亡くなり、サンクトペテルブルクのボルコフ墓地に埋葬されています。

社会哲学

ミハイロフスキーは、ピョートル・ラヴロフの思想を受け継ぐナロードニキの一人でした。彼は歴史における英雄の役割を強調し、「主観的方法」によって社会を進歩させることができると考えました。これは、少数の自覚的なテロリストによる要人暗殺を、社会変革の手段として肯定する思想でした。彼は、ロシアの農村共同体が、将来の社会主義の基盤となり得ると信じていました。また、農村が資本主義によって分解される前に、知識人が主導して社会構造を転換させるべきだと主張しました。この点において、ミハイロフスキーは、テロリズムを肯定し、資本主義とプロレタリアートの役割を否定したため、ロシアのマルクス主義者たち（特にプレハーノフなど）と対立しました。彼は、資本主義の発展を必然とは考えず、ロシアが独自の道を進むことを模索しました。

ミハイロフスキーの思想は、当時のロシア社会において大きな影響力を持っていました。彼の著作や評論は、社会変革を求める知識人たちに大きな刺激を与え、後の革命運動にも影響を与えました。彼は、社会の進歩を少数の英雄的な人物によってもたらされるものと考え、そのためにテロリズムという手段も容認するという、特異な思想家でした。しかし、彼の思想は、ロシアのマルクス主義者たちとの論争を通じて、様々な批判にさらされることにもなりました。

著作

ミハイロフスキーの主な著作には以下のものがあります。

『進歩とは何か（Что такое прогресс?）』（1869年）
『英雄と群衆（Герой и толпа）』（1869年）

これらの著作は、彼の社会思想を理解する上で重要な資料となっています。

参考

プレハーノフ『一元論的史観の発展の問題（К вопросу о развитии монистического взгляда на историю）』（1895年）
K. Valiszewski "Littérature russe"（1900年）
* イヴァノフ・ラズームニク『インテリゲンチヤ（Обь интеллигенци）』（1908）

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