ニコライ・レザノフ

ニコライ・ペトロヴィッチ・レザノフの生涯と事績

ニコライ・ペトロヴィッチ・レザノフ（1764年 - 1807年）は、ロシア帝国の外交官として、特に極東やアメリカ大陸におけるロシアの進出に多大な貢献をした人物です。彼は、アラスカやカリフォルニアの植民地化に携わり、その足跡は今日まで語り継がれています。

幼少期と教育

レザノフはサンクトペテルブルクにて生まれ、早くから5つの言語を習得しました。14歳で砲兵学校を卒業後、近衛連隊に入隊し、1782年には地方裁判所の判事としてのキャリアをスタートします。彼はその後、海軍省次官秘書などを務め、1791年には官房長にまで昇進します。

露米会社の設立

レザノフの事績の中でも特に重要なのは、露米会社（ロシア領アメリカ毛皮会社）の設立です。彼は、エカチェリーナ2世の寵臣プラトン・ズーボフのもとで毛皮交易に関心を抱き、イルクーツクにおける商人シェリホフの事業を、彼の代理として視察しました。1795年にはシェリホフの娘アンナと結婚し、その持参金としてシェリホフの会社の株式を取得。会社の成長を促進しましたが、シェリホフの死後は経営から徐々に疎外されていきました。

国際的な活動と日本への使節

レザノフはアメリカ大陸への毛皮事業を進める中で、経営改善のために日本との交易の可能性に目を向けます。彼はアダム・ラクスマンによる初回の日本訪問を受けて、再度訪日交渉を試みました。彼は1804年の秋、正式な使節団を率いて長崎の出島に到着し、当時の日本政府との交渉を開始します。彼は日本語を学び、通商を求めるための辞書を作成しましたが、日本側の応対には苦労しました。

アラスカおよびカリフォルニアの視察

さらにレザノフは1805年に長崎を去り、カムチャツカへ向かい、その後アラスカの視察に着手します。彼は露米会社の状況を立て直すための新たな施策を講じる一方、カリフォルニアへも向かいます。現地の人々からは歓迎されましたが、スペインの法律や官僚の抵抗により、交渉は難航しました。

病死とその後の影響

その後の1807年5月、レザノフはシベリアを横断中に病に倒れ、クラスノヤルスクで亡くなります。彼の死は、日露関係に緊張をもたらす一因ともなりました。彼が日本との通商を実現していれば、日露関係は大きく変わっていたかもしれません。

結論

ニコライ・ペトロヴィッチ・レザノフの短い生涯は、ロシアの外交とアメリカ大陸の植民地化において重要な役割を果たしました。彼の事績は歴史に強く刻まれ、彼が残した影響は今なお感じられます。

もう一度検索