ニコラス (DD-311)

USS ニコラス (DD-311) の艦歴と遭難事件

USS ニコラス (DD-311) は、アメリカ海軍のクレムソン級[[駆逐艦]]の一隻で、その艦名は大陸海兵隊の初代総司令官であるサミュエル・ニコラスに由来します。艦は1919年にカリフォルニア州サンフランシスコで起工され、1920年に正式に就役を果たしました。初期の任務では、カリフォルニア州サンディエゴを拠点として活動し、様々な艦隊演習や戦術訓練に参加しました。

ニコラスは1923年に発生したホンダポイント遭難事件でその名を知られることになります。この事件は、海軍の駆逐艦が座礁するという大変な事故であり、ニコラスもその一部に含まれていました。1923年9月8日、ニコラスは第11駆逐艦隊の一艦として母港へ向けて航海を始めました。艦隊は太平洋沿岸を進んでいましたが、サンタバーバラ海峡に近づくにつれ、コースを変えることとなります。

その夜、艦隊の先導艦デルファイが座礁したことにより、周囲の艦艇たちも混乱に陥り、ニコラスを含めた6隻の艦が同様に座礁してしまいます。ニコラスの艦長であるハーバート・ロッシュ少佐は、艦の損失を防ぐために最善を尽くしますが、船体は流れに流され、回復の試みも失敗に終わることとなります。乗組員たちは一晩中復旧に努めましたが、翌朝強風と荒波が襲い、艦の状況はより深刻なものとなりました。

その結果、艦長は乗組員に艦の放棄を命じ、最終的には7隻の駆逐艦が失われるという悲劇に見舞われます。遭難の影響で、23名の乗組員が命を落としました。ニコラスは1923年10月26日に退役し、その後11月20日に除籍されました。何度か復旧計画が試みられましたが、いずれも成功せず、最終的には1925年にカリフォルニア州オークランドで売却されました。

現在でも、この事故は「ホンダポイント遭難事件」として海軍歴史の中で重要な出来事として位置づけられています。ニコラスの艦歴は、多くの事例と同じように、軍艦が直面する危険とその運命に対する教訓を提供しています。艦が失われた場所は「太平洋の墓場」とも称され、現在もこの海域には当時の思い出が静かに眠っていることでしょう。

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