ニコラ・カリニッチ

ニコラ・カリニッチ：クロアチアが生んだ献身的なフォワード

ニコラ・カリニッチ（Nikola Kalinić）は、1988年1月5日生まれ、クロアチア・ソリン出身の元プロサッカー選手です。ポジションはフォワードで、その戦術理解度と献身的なプレースタイルで多くの監督やチームメイトから高く評価されました。

クラブキャリア

カリニッチは、クロアチアの強豪HNKハイデュク・スプリトのユースで育ち、2005年に17歳でトップチームに昇格しました。プロデビューはNKイストラ1961へのレンタル移籍で、初年度から12試合に出場し3得点を記録。当時の監督クルノスラフ・ユルチッチは、カリニッチを「クロアチアのイブラヒモビッチ」と称賛しました。

その後、HNKシベニクへのレンタルを経て、2007-08シーズンにハイデュク・スプリトに復帰。1年目から主力として活躍し、リーグ戦25試合で17得点を挙げる活躍を見せました。翌シーズンも15得点を記録し、得点王争いに加わるなど、若くしてその才能を開花させました。

2009年8月には、イングランドのブラックバーン・ローヴァーズFCに移籍。しかし、期待されたほどの活躍はできず、2年間で44試合7得点という成績に終わりました。

2011年からはウクライナのドニプロに移籍し、4年間で82試合34得点と、再び得点能力を発揮。2014-15シーズンには、ヨーロッパリーグ決勝に進出し、決勝戦でもゴールを決めましたが、チームはセビージャに敗れました。

2015年、イタリアのACFフィオレンティーナに移籍。セリエA6節のインテル戦でハットトリックを達成し、チームを16年ぶりのリーグ首位に導くなど、大きなインパクトを残しました。2016-17シーズンにはセリエAで15得点を記録しています。

その後、ACミラン、アトレティコ・マドリード、ASローマなどを経て、2020年からはエラス・ヴェローナに所属。2022年には古巣ハイデュク・スプリトに復帰し、2024年に現役引退を表明しました。

代表キャリア

カリニッチは、クロアチア代表としても長年にわたり活躍しました。2008年のUEFA EURO 2008ではメンバーに選出され、ポーランド戦で途中出場を果たし代表デビュー。2010年には代表初得点を記録し、2016年にはサンマリノとの親善試合でハットトリックを達成しました。

しかし、2018 FIFAワールドカップでは、グループリーグ初戦のナイジェリア戦で途中出場を拒否したとして、チームから追放されるという不名誉な出来事も経験しました。この一件は、彼の代表キャリアに大きな影を落としました。

プレースタイルと評価

カリニッチは、戦術理解度が高く、チームのために献身的な働きができる柔軟なセンターフォワードとして評価されています。前線からの守備やポストプレーにも優れ、ゴール前では冷静に左右両足でシュートを放つことができます。特に、ヒールを使ったプレーを得意とし、数々のゴールやアシストを記録しています。

フィオレンティーナ時代に彼を獲得することを望んだパウロ・ソウザ監督は、「カリニッチは、テクニック、戦術、メンタル、フィジカルの全てにおいて最高レベルの選手」と絶賛しました。

エピソード

元ACミランの選手で解説者のズボニミール・ボバンは、「若いころのカリニッチは怪物のようだった」と評しています。ドニプロを経てフィオレンティーナで活躍する姿を見て「成熟し、落ち着きを増してプロフェッショナルになった」と語っています。

ニコラ・カリニッチは、その才能と献身性で多くのファンを魅了した、クロアチアを代表するフォワードの一人として記憶されるでしょう。

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