ニコラ＝ジャン・ド・デュ・スールト

ニコラ＝ジャン・ド・デュ・スールトの生涯と功績

ニコラ＝ジャン・ド・デュ・スールト（1769年3月29日 - 1851年11月26日）は、フランスの軍人であり、ナポレオン戦争時の大元帥として知られています。彼は、元々弁護士になるための教育を受けていましたが、1785年に王政の崩壊を受けて歩兵に入隊しました。

初期の軍歴

スールトは、1791年に軍曹に昇進し、徐々にその能力を発揮していきました。1794年には旅団指揮官としての地位を確立し、ドイツでの数多くの戦闘を経て、1799年には師団長としてスイスに派遣されます。ここで彼はアンドレ・マッセナの指揮の下で軍功を上げ、特にチューリッヒの戦いでの戦果が評価されました。

ナポレオンとの関係

スールトは初めこそナポレオンを軽視していましたが、後に恭順し、1804年にフランス元帥に任命されました。彼は1805年にアウステルリッツの戦いで中央部への突撃を成功させ、フランスの勝利に尽力しました。その後も、彼は数多くの戦闘に参加し、特にフリートラントの戦いではケーニヒスベルクを占拠するなど、戦局に重要な影響を及ぼしました。

半島戦争と最晩年

スールトは1808年にスペイン戦争に参加し、数度の戦闘で勝利を収めましたが、後のサラマンカの戦いで敗北を喫し、南フランスへの撤退を余儀なくされます。1814年にナポレオンが退位すると、復古王政時代に王党派として活躍し、陸軍大臣を務めるなど、政治的な役割も果たしました。しかし、ナポレオンがエルバ島から戻ると再び彼の側に戻りましたが、能力を発揮しきれませんでした。

政治家としての活動

スールトは1830年の七月革命後にオルレアン家を支持し、ルイ・フィリップ1世の下で首相として3期務めたり、陸軍大臣を2度にわたって務めたりしました。1848年の二月革命後、自らを共和主義者と宣言し、82年の生涯を終えました。多くの戦争でのリーダーシップと、政治家としての変遷を経て、彼はフランスの歴史に名を刻むこととなります。

評価

その軍人としての才能は評価されつつも、政治家としては批判されることもありました。『ブリタニカ百科事典第11版』では、「敵前でのみ品位がある人物」と厳しい評を下しています。スールトの生涯は、時代の流れとともに変わる忠誠心や信念の象徴とも言えるでしょう。彼の回想録は、その時代の貴重な証言となっています。

もう一度検索