ニコラ2世 (ロレーヌ公)

ニコラ2世フランソワ：ロレーヌ公国の激動の生涯

ニコラ2世フランソワ（1612年12月12日 - 1670年1月25日）は、17世紀のロレーヌ公国の君主です。通常はニコラウス2世フランツとも呼ばれます。兄であるシャルル4世の退位後、公位を継承しましたが、その生涯は激動に満ちていました。

生い立ちと聖職者としての道

ニコラは、ロレーヌ公フランソワ2世とクリスティーヌ・ド・サルムの三男として生まれました。当初、彼は公位を継ぐ可能性が低かったため、聖職者としての道を歩むことになりました。1619年にはトゥールの助祭に、1624年には司教に任命されましたが、実際に聖職に就くことはありませんでした。1622年から1629年までポンタ＝ムッソンの大学で哲学と神学を学び、1629年にナンシーに戻りました。枢機卿に昇進した後、2人のイエズス会司祭から個人指導を受けました。

ニコラはいくつかの修道院で名目上の修道院長を務め、兄シャルルやフランス王ルイ13世によって、大使として派遣されました。1626年に枢機卿に任命されましたが、翌1627年まで公表されませんでした。枢機卿でありながら、赤い角帽をかぶったり、助祭を迎えたりすることはありませんでした。

ロレーヌ公としての短い治世

1634年、ニコラは兄シャルルに圧力をかけ退位させ、自らロレーヌ公位に就きました。さらに、枢機卿を辞任し、伯父アンリ2世の次女であるロレーヌ公女クロードと結婚しました。しかし、その直後、フランス軍がロレーヌに侵攻し、ニコラはフランスによるロレーヌ占領を認める条約に署名せざるを得なくなりました。同年4月、ニコラはロレーヌから亡命しました。

家庭生活と退位

妻クロードとの間には5人の子供が生まれましたが、成人したのは2人だけでした。

フェルディナン・フィリップ（1639年 - 1659年）
シャルル5世（1643年 - 1690年） - ロレーヌ公

1661年、ニコラは自ら退位し、兄シャルルに公位を返還しました。

ニコラ2世フランソワの生涯は、聖職者としての道からロレーヌ公への転身、そしてフランスの侵攻による亡命と、激動に満ちていました。彼の短い治世は、ロレーヌ公国の歴史における重要な転換期となりました。

もう一度検索