ニコル・フォンテーヌ

ニコル・フォンテーヌ：フランスと欧州を繋いだ女性政治家

ニコル・フォンテーヌ（1942年1月16日-2018年5月17日）は、20世紀後半から21世紀初頭のフランスと欧州政治において重要な役割を果たした政治家です。ル・アーヴルで生まれ、パリ大学で法学博士号を取得、パリ政治学院のディプロマも取得しています。若き日は教育分野で活躍し、高等学校教師やカトリシズム教育制度事務局の法律顧問、副代表などを歴任しました。

1980年代初頭、フランソワ・ミッテラン政権による宗教系学校への補助金廃止案に反対する運動を組織し、その活動を通じて政治家としての道を歩み始めます。その手腕は高く評価され、1984年の欧州議会議員選挙で初当選を果たします。

欧州議会では、その卓越した能力と交渉力から、着実にキャリアを積んでいきます。1989年には再選され、欧州人民党の支持を得て欧州議会の副議長に就任。1994年の選挙では、すべての副議長の中で最多得票数を獲得し、筆頭副議長・議長代行に選出されました。この立場で、欧州議会と欧州連合理事会間の意見調整に重要な役割を果たしました。

1999年の欧州議会議員選挙では、欧州人民党が初めて第1会派となり、フォンテーヌは欧州議会議長選挙に立候補。激戦を制し、史上初の女性議長に選出されました。これは欧州統合の歴史において、極めて重要な出来事でした。2002年1月には、あらかじめ合意されていた通り、後任の議長にパット・コックス（アイルランド）が就任しました。

欧州議会議長退任後も、フォンテーヌの政治活動は続きます。2002年のフランス大統領選挙でジャック・シラクが再選された後、ジャン＝ピエール・ラファラン内閣で経済・財政・産業省産業副大臣に任命され、2004年まで務めました。その後、欧州議会に復帰し、2009年まで欧州議会議員として活躍しました。

フォンテーヌの政治的キャリアは、フランス国内の政治に留まらず、欧州統合の進展に大きく貢献したものでした。特に、宗教教育問題への関与から欧州議会議長への就任という軌跡は、彼女の人格と能力の高さを示しています。フランスと欧州の橋渡し役として活躍した、ニコル・フォンテーヌの功績は、今後も高く評価されることでしょう。76歳で逝去しましたが、その業績は欧州政治の歴史に刻まれています。

もう一度検索