ニコール＝レイヌ・ルポート

ニコール＝レイヌ・ルポート（Nicole-Reine Lepaute、旧姓エタブル、1723年1月5日 - 1788年12月6日）は、18世紀のフランスで活躍した著名な天文学者であり、数学者でもあります。

彼女は、アレクシス・クレローのもとで彗星の回帰時期の計算に携わり、その天文学的知識と数学的才能を発揮しました。また、日食の予測計算を行い、星表の編纂にも従事するなど、多岐にわたる分野で貢献しました。

彼女の功績は、小惑星(7720) ルポート、そして月面クレーターのルポートにその名が残されていることからも明らかです。

生涯

ニコール＝レイヌ・ルポートは、パリのリュクサンブール宮殿で働く従者の娘として生まれました。1749年に時計職人のジャン・アンドレ・ルポートと結婚。夫とともに天文観測用の時計を組み立てました。その時計は1753年にフランス科学アカデミーに納入され、天文学者のジェローム・ラランドによって評価されました。

ラランドの推薦により、ルポートは木星と土星の摂動を考慮したハレー彗星の回帰時期を計算していたアレクシス・クレローのもとで働くことになりました。クレローのチームは1758年11月に、ハレー彗星の回帰は1759年4月13日と予想した結果を発表。実際の回帰は5月13日であり、予測に近いと評価されました。しかし、クレローはルポートの功績を明確には示さず、後にラランドがルポートの貢献を示す記事を執筆しました。

1759年、ルポートは再びラランドのチームに加わり、金星の日面通過の計算に参加しました。この業績における彼女の貢献も明確には示されませんでしたが、ルポートはベジエの科学アカデミーの名誉会員に選ばれました。

1762年には、1764年4月1日の日食の予測時間の計算を行い、ヨーロッパ各地での食の時間を15分刻みで示した図を「時の知識 (Connaissance des temps)」に発表しました。さらに、星表を作成するグループを組織し、1774年から1784年までの天体暦を計算しました。

1767年からの10年間は、重病となった夫の看護に専念。この献身的な看護が、彼女自身の健康を損なうこととなりました。

ニコール＝レイヌ・ルポートは、その卓越した才能と努力によって、天文学の発展に大きく貢献した女性科学者として、歴史に名を刻んでいます。

参考文献

* マルヨ・T・ヌルミネン 著、日暮雅通 訳『才女の歴史　古代から啓蒙時代までの諸学のミューズたち』東洋書林、2016年。ISBN 9784887218239。

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