ニシン科

ニシン科（Clupeidae）

ニシン科は、ニシン目に属する魚類のグループであり、世界中のほとんどの海域に分布しています。水産資源として非常に重要であり、食用魚としても広く利用されています。本科に属する魚類は、口が体の先端にあるか、やや上向きについているのが特徴です。歯の発達は悪く、主にプランクトンを食べています。また、多くの種類は腹部に稜鱗と呼ばれる特徴的な鱗を持っています。

分類

ニシン科は、4つの亜科に約50属200種が分類されています。

ニシン亜科（Clupeinae）：
7属17種が含まれます。ニシン、タイセイヨウニシン、フエゴニシンなどが代表的です。

Ehiravinae：
11属31種が含まれます。この亜科には、成体でも9cmを超えない小型のグループ（Ehiravini）が含まれ、インド太平洋の淡水域や汽水域に生息しています。漁業的な価値は低いとされています。
Ehiraviniの他、Gilchristella、Sauvagella、Ehirava、Sundasalanx（かつては独立科とされていた）、Clupeichthys、Clupeoides、Corica、Spratellomorpha、Minyclupeoides、Dayellaなどの属が含まれます。

ニシンダマシ亜科（Alosinae）：
4属32種が含まれます。ニシイワシ（Sardina）、マイワシ属（Sardinops）、ニシンダマシ属（Alosa）、スミツキニシン属（Brevoortia）などが代表的です。

コノシロ亜科（Dorosomatinae）：
30属111種が含まれます。Platanichthys、Pellonulini（中央から西アフリカの淡水域に生息）、Rhinosardinia、Gudusia、Tenualosa（ジギョ）、Anodontostomatini、Sardinella（サッパ）、Hilsa kelee、Herklotsichthys（ミズン）、Escualosa、Harengula（ウロコサッパ）、Amblygaster（ヤマトミズン）、Lileなど多様な属が含まれます。

過去の分類体系

以前は、ニシン科は以下の6亜科に分類されていました。

1. ウルメイワシ亜科（Dussumieriinae）：
ウルメイワシ、キビナゴなどが含まれます。腹部稜鱗がW字型をしているのが特徴です。
2. Sundasalanginae：
体は細長く、鱗がなく、胸鰭に鰭条がないのが特徴です。
3. Pellonulinae：
西アフリカの湖や河川に分布する淡水魚がほとんどです。上主上顎骨が1つで、腹鰭の前後に稜鱗がないことが多いです。
4. ニシン亜科（Clupeinae）：
上主上顎骨が2つあり、腹鰭の前後に稜鱗を持つのが特徴です。
5. ニシンダマシ亜科（アロサ亜科）（Alosinae）：
口は端位にあり、上顎に明瞭な溝があります。
6. コノシロ亜科（ドロクイ亜科）（Dorosomatinae）：
* 口が下向きについており、背鰭の最後の鰭条が糸状に細長く伸びる場合が多いです。

系統

ニシン科の系統関係は複雑であり、現在も研究が進められています。上記の4亜科への再編は、分子系統解析などの最新の研究結果に基づいています。

ニシン科は、その多様性と生態的な役割から、海洋生態系において非常に重要な位置を占めています。また、水産資源としての価値も高く、世界の食料供給に貢献しています。

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