マイワシ

マイワシについて

基本情報

マイワシ（学名：Sardinops melanostictus）は、ニシン目・ニシン科に属する海水魚で、主に東アジアの沿岸地域に生息しています。この魚は日本において「イワシ」と呼ばれる一種であり、食用や産業用途において非常に重要な資源となっています。また、別名として地域によって「ユワシ」「ナナツボシ」などがあり、成長段階に応じた呼称が多様です。

特徴

マイワシの成魚は全長が最大30cmに達することがありますが、一般的には20cm程度の個体が多く見られます。体の色は上面が青緑色で、側面から腹側は銀白色を呈し、特徴的な黒い斑点が1列または2列並んでいることが特徴です。この斑点は「ナナツボシ」と呼ばれる由来になっています。

体形は細長く、逆三角形に近い紡錘形を呈しています。鱗は薄く、体側には通常45枚前後の縦列の鱗が見られますが、個体によってはこの数が異なったり、斑点が無い場合もあります。カタクチイワシやウルメイワシと違う点は、体側に黒点列があり比較的側扁しているところです。

生態

マイワシは樺太から南シナ海にかけて分布し、海面付近を泳ぎながら大群を形成します。春から夏には北上し、秋から冬には南下する回遊の特徴があり、一部の群れは固定された水域に留まることもあります。主に珪藻などの植物プランクトンを食べて生きており、捕エサのために口と鰓蓋を大きく開けて泳ぎます。

天敵にはイカ、アジ、サバ、カツオ、サメなどがありますが、攻撃を受けると群れで同調して泳ぐことで危険を回避します。産卵期は12月から7月で、夕方から深夜にかけて行われます。メスは数回にわたって数万粒の卵を産みますが、卵を保護することはせず、多くは捕食されてしまいます。受精卵は2-3日で孵化し、稚魚は主に他のプランクトンを捕食して成長します。

利用方法

日本では、マイワシは一般的に食用魚として知られていますが、実際にはその利用法は多様で、特に飼料や肥料としての用途が多いです。漁獲方法には、巻き網、引き網、定置網などが利用され、時には釣りによる漁獲も行われます。群れに遭遇すると続けて捕れることがありますが、漁獲量の減少が続いており、影響は水産業だけでなく農業や畜産業にも及びます。21世紀に入ってからは、新鮮なマイワシが「高級魚」として扱われることも増えました。

漁獲量の減少とその背景

マイワシの漁獲量は過剰捕獲が原因で減少しており、特に巻き網漁がその要因として挙げられています。マイワシの漁獲量は60-80年ごとに大きく変動し、過去には1965年に漁獲量が1万トンを下回ったこともありますが、1972年から豊漁が続き、日本は漁獲高世界一となることができました。しかし、21世紀に入ってからその数値は減少傾向にあり、持続可能な漁業の実現が求められています。

食用としての特徴

マイワシの身は柔らかくて小骨が多く、特に大型個体は皮下脂肪がよく発達します。食材としては、ちりめんじゃこ、干物、刺身、缶詰など様々な用途がありますが、鮮度が重要で、流通には限りがあります。また、栄養価が高く、特に不飽和[[脂肪酸]]やビタミンDを多く含むため、健康志向の高い食材としても注目されています。

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