ニック・シンパー

ニック・シンパー：ディープ・パープルの初期を支えたベーシスト

ニック・シンパー（Nick Simper, 1945年11月3日 - ）は、イングランド出身のロックミュージシャンであり、ベーシストとしてその名を知られています。彼は、1968年に結成された伝説的なロックバンド、ディープ・パープルのオリジナルメンバーの一人として、その音楽キャリアをスタートさせました。

生い立ちと初期の音楽活動

ニック・シンパーは、旧ミドルセックス州サウスオールのノーウッドで生まれました。幼少の頃からギターに親しみ、やがてベースギターへと転向。1959年にザ・レネゲイズに加入したのを皮切りに、デルタ・ファイヴ、サム・アザー・ガイズ、バディ・ブリトン&リージェンツなど、数々のバンドを渡り歩き、セッション活動を通じてその腕を磨きました。また、スクリーミング・ロード・サッチ・アンド・ザ・サヴェイジズ在籍時には、後にディープ・パープルで共に活動するリッチー・ブラックモアと出会っています。

1966年には、ジョニー・キッド&ザ・パイレーツに加入しますが、同年10月にキッドとともに交通事故に遭遇。シンパーは軽傷で済んだものの、キッドは命を落とすという悲劇に見舞われました。その後、短期間ザ・パイレーツを再興しますが、すぐにヴォーカル・グループ、ザ・フラワー・ポット・メンのバックバンドに参加。そこで、ジョン・ロードと運命的な出会いを果たします。

ディープ・パープルでの活躍と脱退

1968年、ジョン・ロードとリッチー・ブラックモアが新たに結成したラウンドアバウトに、シンパーはベーシストとして加入。ラウンドアバウトは同年4月にディープ・パープルと改名し、「ハッシュ」や「ケンタッキー・ウーマン」といった初期のヒット曲を放ちました。しかし、1969年に行われたアメリカ・ツアー中に、ロードとブラックモアは音楽性の変化を理由に、シンパーとボーカリストのロッド・エヴァンスを解雇することを決定。シンパーは、1969年7月4日のカーディフ公演を最後に、ディープ・パープルを去ることとなりました。この解雇に不満を持ったシンパーは訴訟を起こし、最終的に1万ポンドの賠償金を得ましたが、将来のアルバムの印税を受け取る権利を放棄することになりました。

ディープ・パープル脱退後の活動

ディープ・パープル脱退後、シンパーは1970年にウォーホース、1979年にニック・シンパーズ・ファンダンゴを結成し、それぞれ2枚のスタジオ・アルバムを発表しました。また、1971年にはロード・サッチのライブ活動に参加し、1972年に発表されたライブ・アルバム『ハンズ・オブ・ジャック・ザ・リッパー』にも参加しています。1997年には、元クォーターマスのミック・アンダーウッドが結成したクォーターマスIIに、元レインボーのドン・エイリーらとともに参加しました。2000年代に入ってからも、ザ・グッド・オールド・ボーイズへの参加や、オーストリアのナスティー・ハビッツとの共演など、精力的な音楽活動を展開しました。

2016年、ディープ・パープルがロックの殿堂入りを果たしましたが、残念ながらシンパーは受賞者として選ばれることはありませんでした。

ディスコグラフィ（一部）

ディープ・パープル
ハッシュ (1968年)
詩人タリエシンの世界 (1968年)
ディープ・パープル III (1969年)
ウォーホース
ウォーホース (1970年)
レッド・シー (1972年)
ニック・シンパーズ・ファンダンゴ
Slipstreaming (1979年)
Future Times (1980年)
クォーターマスII
Long Road (1997年)

ニック・シンパーは、ディープ・パープルの初期を支えた重要なメンバーであり、その後も様々なバンドやプロジェクトでその才能を発揮し続けた、偉大なベーシストの一人です。

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