ニック・ヘイズ

ニック・ヘイズは、イギリスの自動車産業の中心地コベントリーで1960年1月9日に生まれたF1エンジンの設計者です。幼少期にシルバーストン・サーキットでレース観戦をしたことがきっかけで、レーシングカーデザイナーを志すようになりました。

彼はマンチェスターのサルフォード大学で機械工学の学位を取得し、在学中は権威ある機械技術者協会のデザイン賞を受賞するなど、高い才能を発揮しました。在学中からミック・ヒルのメカニックとして活動する傍ら、世界的なジェットエンジンメーカー、ロールス・ロイス・エアロ・エンジン社のインターンシップに参加。この経験が、彼のエンジニアとしてのキャリア形成に大きな影響を与えました。

大学卒業後、ヘイズはコスワース・エンジニアリング社に入社。コスワースは当時、フォーミュラ1で成功を収めたDFVエンジンの開発で知られていました。ヘイズはトラックサイドサポートや研究開発からキャリアをスタートさせ、コスワースがV6ターボエンジン、自然吸気V8エンジンなど、様々なF1エンジンの開発に携わっていく中で、重要な役割を果たしました。

特に、チーフデザイナーのジェフ・ゴダードの下で、ミハエル・シューマッハが1994年にF1世界選手権で優勝したエンジン開発にも参加。その後もV12エンジンやV8 Zetec-R、V10 Zetec-Rなどの設計に携わり、コスワースのエンジニアリングチームのリーダーとして活躍しました。1999年には、コスワース・レーシングのCR01エンジンがヨーロッパGPで優勝するなど、数々の成功を収めました。

コスワース時代を経て、ヘイズはジャガーに移籍。エンジニアリング担当マネージングディレクターとして、さらに高度なエンジンの開発に携わりました。ジャガーでは、ロブ・ホワイト率いる設計チームと共にCR04エンジンの開発を主導しました。

その後、ヘイズはアメリカに移り、NASCARのリチャード・チャイルドレス・レーシングで勤務した後、現在は独立系の設計およびエンジニアリングコンサルタントとして活躍しています。彼の長いキャリアは、F1エンジンの進化の歴史と深く結びついており、数々の名車開発に貢献してきた彼の功績は、これからも自動車業界に大きな影響を与え続けるでしょう。ロールスロイスやコスワースでの経験、そしてF1、NASCARでの活躍を通して培われた彼の深い専門知識と経験は、多くのエンジニアにとって貴重な財産となっています。彼の今後の活動にも注目が集まっています。コベントリーで育まれた情熱と、世界を舞台に活躍する彼の挑戦は、未来のエンジニアたちに大きな刺激を与え続けているのです。

もう一度検索