ニッケル・水素充電池

ニッケル水素電池：種類、歴史、特性、用途、そして市場

ニッケル水素電池は、充電可能な二次電池の一種です。正極にはニッケル酸化物、負極には水素吸蔵合金が用いられ、アルカリ性電解液の中で電気化学反応を起こすことで電力を生み出します。環境への負荷が少なく、高いエネルギー密度と長寿命を特長とするため、携帯機器からハイブリッドカーまで、幅広い用途で活用されています。

ニッケル水素電池の種類

[ニッケル]]水素電池には、大きく分けてニッケル水素ガス電池]と[ニッケル金属水素化物電池]の2種類があります。Ni-H2は、[[水素ガスを圧力容器に貯蔵するタイプで、主に人工衛星などの宇宙機器用途で使用されてきました。一方、Ni-MHは、水素吸蔵合金に水素を貯蔵するタイプで、一般的に普及しているニッケル水素電池です。Ni-MHはさらに、圧力容器の構造やセルの配置方法によって、個別圧力容器型(IPV)、共通圧力容器型(CPV)、単一圧力容器型(SPV)、両極型、圧力容器依存型(DPV)、共通/依存型圧力容器(C/DPV)など、様々な種類が存在します。

ニッケル水素電池の歴史

ニッケル水素電池の開発は、1970年代のコムサットから始まりました。当初は、人工衛星などの宇宙機器向けに、高出力、高容量、長寿命のバッテリーとして開発が進められていました。1977年には、アメリカ海軍の航法衛星(NTS-2)に初めて搭載されました。その後、小型二次電池として普及が進み、1990年代にはニカド電池に代わる主流の電池となりました。特に、自己放電が少ないエネループ(eneloop)の登場は、ニッケル水素電池の普及を大きく促進しました。

ニッケル水素電池の特性

ニッケル水素電池は、ニカド電池に比べて容量が大きく、環境に優しい点が特徴です。電圧は1.2Vで、ニカド電池と互換性があります。また、大電流を供給できるため、モーター駆動機器にも適しています。しかし、自己放電が比較的大きく、メモリー効果もわずかに存在します。近年では、自己放電やメモリー効果を低減した高性能な電池が開発されています。

長所

繰り返し使用可能で経済的
内部抵抗が低く、大電流用途に適している
リチウムイオン電池に比べて爆発の危険性が低い
ニカド電池より大容量化が可能
カドミウムを含まず環境に優しい
エネループ技術などにより自己放電が少なく、長期間保存可能

短所

過放電に弱い
メモリー効果がある（ただし近年は軽減されている）
加熱時や過放電時に水素ガスを発生する
同容量のリチウムイオン電池に比べて重い

ニッケル水素電池の充電方法

ニッケル水素電池の充電には、標準充電、トリクル充電、急速充電などがあります。急速充電器には、デルタピークカット方式やdT/dt制御充電方式など、過充電を防止する安全機構が搭載されています。しかし、安価な充電器にはこれらの安全機構が不足している場合があり、過充電による電池の劣化や破損の危険性があります。そのため、信頼性の高い充電器を使用することが重要です。

ニッケル水素電池の用途

ニッケル水素電池は、様々な用途で使用されています。

乾電池の代替：携帯機器、デジタルカメラ、玩具など
ハイブリッドカー：自動車の補助電源
産業用機器：電動工具、ロボットなど
宇宙機器：人工衛星、宇宙探査機など

ニッケル水素電池の普及状況と市場シェア

ニッケル水素電池は、乾電池型充電池、ハイブリッドカーの電源、携帯機器の専用電池などとして広く普及しています。2010年時点では、三洋電機（FDKトワイセル製）が世界シェアトップでしたが、その後、市場構造は変化しています。現在、主要メーカーとしては、FDK、パナソニック、プライムアースEVエナジーなどが挙げられます。携帯機器分野では、リチウムイオン電池にシェアを奪われていますが、ハイブリッドカーや乾電池型充電池市場では依然として重要な地位を占めています。

まとめ

ニッケル水素電池は、環境に優しく、高性能な充電式電池として、今後も様々な分野で活用されていくでしょう。しかし、安全な充電方法や適切な使用法を理解し、信頼性の高い製品を選ぶことが重要です。

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