ニッコロ3世・デステ

ニッコロ3世・デステ（1383年11月9日 - 1441年12月26日）は、15世紀前半のイタリアにおいて、モデナ、レッジョ、そしてフェラーラの侯爵として権勢を誇った人物です。父アルベルト・デステの跡を継ぎ、これらの領地を統治しました。

波乱に満ちた結婚生活

ニッコロ3世の結婚生活は、彼の波乱に満ちた人生を象徴するかのようでした。最初の妻はパドヴァ領主フランチェスコ2世・ダ・カッラーラの娘、ジリオラでしたが、彼女は同時代の年代記作家たちがこぞって醜く、性格もひねくれていたと記すほどの人物でした。ニッコロ3世が彼女に愛情を抱くことはなく、国内外に数多くの愛人を作りました。

その中でも特に彼が愛したのは、シエナの豪族の娘ステッラ・トロメイでした。ステッラはニッコロ3世との間に3人の息子をもうけましたが、若くして病死してしまいます。その後、ニッコロ3世は35歳でチェゼーナの領主の娘パリシーナ・マラテスタと再婚しますが、この結婚がさらなる悲劇を招くことになります。

近親相姦と悲劇

パリシーナは、ニッコロ3世がステッラとの間にもうけ、伯爵位を与え、後継者に指名していた長男ウーゴ・デステと不倫関係に陥ります。この裏切りを知ったニッコロ3世は激怒し、二人を斬首刑に処しました。さらに、この事件後間もなくして3度目の結婚をするものの、その妻もパリシーナの亡霊に悩まされた末に首を吊って自殺したと伝えられています。

子女

ニッコロ3世には、愛妾ステッラ・トロメイとの間に以下の3人の息子がいました。

ウーゴ（1405年 - 1425年）: パリシーナとの不倫により処刑
レオネッロ（1407年 - 1450年）: フェラーラ侯。マルゲリータ・ゴンザーガ、マリア・ダラゴーナと結婚
ボルソ（1413年 - 1471年）: 初代フェラーラ公

また、3度目の妻リッチャルダ・ダ・サルッツォ（サルッツォ侯トンマーゾ3世の娘）との間には、以下の2人の息子がいました。

エルコレ1世（1431年 - 1505年）: 第2代フェラーラ公
* シジスモンド（1433年 - 1507年）

ニッコロ3世の生涯は、権力、愛、そして悲劇が複雑に絡み合った、中世イタリアの貴族社会の縮図とも言えるでしょう。彼の後継者たちは、フェラーラの歴史において重要な役割を果たし、特にボルソとエルコレ1世は、フェラーラ公国を繁栄に導いた人物として知られています。

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