ニホンカナヘビ

ニホンカナヘビ（Takydromus tachydromoides）

ニホンカナヘビは、カナヘビ科カナヘビ属に分類される日本固有のトカゲの一種です。北海道から九州、周辺の島嶼まで広く分布し、日本の自然環境に適応して生息しています。

分布

日本固有種であり、北海道、本州、四国、九州、および周辺の島嶼（壱岐、隠岐、佐渡島、種子島、屋久島、五島列島）に分布しています。

形態

全長は18 - 25cm程度で、尾が全体の2/3以上を占めます。鱗は光沢がなく、ザラザラとした質感です。背面の鱗は大きく、1本ずつ稜線があり、後端が尖っています。これらの鱗が重なり合うことで、背面には6本の隆条が形成されます。体側面の鱗は小さいですが、腹面の鱗は背面と同様に大きく、弱い隆条と尖った後端を持ちます。頭部下面には咽頭板と呼ばれる大きな鱗が左右4対並んでいます。目は耳も発達しており、特に耳はニホントカゲに比べて大きく、黒っぽいため目立ちます。四肢も発達しており、それぞれ5本の指を持ち、後肢の第4指が特に長いです。

体色は背面が灰褐色から褐色、腹面が黄白色から黄褐色です。側面には、鼻孔の直上から始まり、目・耳を横切り尾の付け根まで達する黒褐色の色帯と、目の下縁から始まり耳の下を通って後方に伸びる同色の色帯があります。これらの色帯の間は黄白色の帯となっています。

生態

低地から低山地にかけての草原や藪地、枯れ地などに生息し、民家の庭でも見かけることがあります。昼行性ですが、夏は日中の暑さを避けて、早朝や夕方に活動します。地表を徘徊し、2m程度の高さまで木に登ることもあります。都市部では、ニホントカゲがブロック塀などで分断されやすいのに対し、ニホンカナヘビはこれらの障壁を乗り越えて生息できます。体温調節のため、日光浴をしている姿もよく見られます。外敵に襲われると尾を自切して逃げることがあります。冬は日当たりの良い斜面の地中で休眠します。

食性は動物食で、昆虫、クモ、ワラジムシなどを食べます。飼育下では人工飼料にも餌付きます。尾は再生しますが、再生尾には骨がなく、二又になることもあります。夜は茂みや葉上で眠ります。

繁殖期は春から夏で、交尾の際にオスがメスの頭部から腹部にかけて噛みつくことがあります。メスは5 - 9月に1回に1 - 8個の卵を、年に1 - 6回に分けて産みます。卵は草の根際などに産み付けられ、約2ヶ月で孵化します。幼体には色帯がなく、全身が黒褐色です。約1年で成体になります。

天敵は、小型哺乳類、鳥類、ヘビ類などです。モズの早贄にされたり、シロマダラに捕食されたりします。幼体はカマキリなどの肉食昆虫に捕食されることもあります。

寿命は10年程度ですが、多くは2 - 3年で命を終えます。

人間との関係

分布域が広く、絶滅の心配は低いと考えられています。

飼育

野生個体や有精卵を採取するか、ペットショップなどで入手して飼育できます。

飼育環境

昆虫飼育ケース（大）で飼育可能です。床材は採取地の土、園芸用土、爬虫類用土などが使えます。ダニや寄生虫予防には爬虫類用土が推奨されます。昼行性のため、日光浴が必要です。不足する場合は、UVAとUVBを照射するバスキングライトを使用します。飼育温度は15度を下回らないようにし、夏場は35度を超えないように調整します。

餌

春から秋にかけて、昆虫（バッタ、クモ、コオロギなど）やミミズ、ペットショップで販売されているコオロギやミルワームを与えます。幼体は1 - 2日に1回、成体は2 - 3日に1回が目安です。活き餌しか食べない個体が多いため、置き餌をして、残った分は取り除きます。水も皿や霧吹きで与えます。カルシウム剤やマルチビタミン剤で栄養を補給します。

関連項目

カナヘビ
トカゲ

外部リンク

* 「小恐竜」ニホンカナヘビ、行き場失ったか…東京23区で絶滅危機

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