ニュルンベルクの戦い

ニュルンベルクの戦い：ナチズムの聖地を巡る攻防

ニュルンベルクの戦いは、第二次世界大戦末期の1945年4月、バイエルン州の都市ニュルンベルクで発生しました。ナチス・ドイツにとって重要な意味を持つこの都市を巡り、アメリカ軍とドイツ軍が激突しました。

戦いの背景

1945年、ドイツ軍はバルジの戦いやノルトヴィント作戦に失敗し、戦況は連合国側に大きく傾いていました。連合軍はライン川を越え、バイエルン地方へと進軍を開始。ヤルタ会談での合意に基づき、バイエルン地方の解放はアメリカ軍の担当となりました。

当時ニュルンベルクは、神聖ローマ帝国の首都としての歴史を持ち、ナチ党の党大会が開催されるなど、「ナチズムの聖地」と見なされていました。そのため、連合国・ドイツ双方にとって戦略的に重要な都市であり、その占領を巡る戦いは避けられないものでした。

ドイツ軍の状況

ニュルンベルクの防衛部隊は、カール・ホルツ大管区指導者の指揮下、リヒャルト・ヴォルフ大佐が戦闘司令官を務めました。

主な防衛部隊
第17SS装甲擲弾兵師団の一部
第21空軍野戦連隊の一部
雑多な補充部隊
郷土防衛隊
飛行場の空軍地上要員
国家労働奉仕団（RAD）
ヒトラーユーゲントの「戦車破壊大隊」
国民突撃隊
東方義勇部隊

兵力は14歳以上の男性を中心に11,000～12,000人でしたが、装備は貧弱で、ライフルやピストル程度しかありませんでした。唯一の頼みは、市内に配備された約140基の高射砲で、RADやヒトラーユーゲントが運用していました。

アメリカ軍の状況

ジョン・W・オダニエル指揮下の第3歩兵師団、ロバート・T・フレデリック将軍率いる第45歩兵師団がニュルンベルク攻略の主力でした。これらの部隊は、ウェイド・H・ヘイスリップ中将指揮下の第XV軍団に属し、戦車、砲兵、重砲を装備していました。

総兵力は約100,000人、戦闘参加兵士は約30,000人でした。アルデンヌ攻勢の二の舞を避けるため、予備部隊も随伴していました。

戦闘の経過

1945年4月16日、アメリカ軍はニュルンベルクへの進攻を開始しました。大管区指導者のホルツは、ヒトラーのネロ指令に基づき、都市の破壊を命じましたが、市長のリーベルや放送局員の抵抗により実行されませんでした。

4月17日、アメリカ軍の砲撃が開始され、市内では略奪が横行しました。アメリカ軍は着実に前進し、主要な拠点を制圧していきました。

4月18日、ドイツ軍の抵抗は激化しましたが、アメリカ軍の進撃を止めることはできませんでした。

4月19日、隣町のフュルトが無抵抗で降伏し、アメリカ軍はニュルンベルク旧市街へと侵入。市街戦が激化しました。

4月20日、ヒトラーの誕生日、市長のリーベルが死亡しました（自殺とも他殺とも言われています）。戦闘司令官のヴォルフは、残存部隊に抵抗中止を命じましたが、ホルツらは警察本部の地下壕に立てこもり、抵抗を続けました。同日夕刻、オダニエルは「アドルフ・ヒトラー通り」で戦勝パレードを行いました。

4月21日、ヴォルフが逮捕され、4月24日までに市内の抵抗は鎮圧されました。

戦闘の結果

ニュルンベルクの戦いは、軍事的・政治的にほとんど意味のないものでしたが、都市は徹底的に破壊され、多くの犠牲者が出ました。

主な被害
セバルドゥス教会の塔など、重要な建物や橋の破壊
インフラ施設の壊滅
民間人、アメリカ兵、ドイツ兵合わせて901人以上の死亡

この戦いにおける防衛首脳部の行動は、多くの批判を浴びています。

ニュルンベルクの戦いは、ナチズムの終焉を象徴する出来事の一つとして、歴史に刻まれています。

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