ニューオリンズ・ブラスバンド

ニューオーリンズ・ブラスバンド

ニューオーリンズ・ブラスバンドとは、アメリカ合衆国ルイジアナ州の都市、ニューオーリンズを起源とする独特な音楽スタイル、あるいはそのスタイルで演奏する楽団を指します。主に金管楽器と打楽器群によって構成されるのが特徴です。この音楽形態は、後のジャズの成立に大きく寄与した音楽形態の一つと見なされており、その歴史的意義は非常に大きいと言えます。しかし、彼らのサウンドは過去にとどまらず、現代ではファンクやR&Bなど、多様な要素を取り込み、独自の進化を遂げた音楽スタイルとして世界中で親しまれています。彼らの演奏は、街中でのパレードをはじめ、様々な場所で人々を熱狂させています。

特徴と編成

伝統的なニューオーリンズ・ブラスバンドの編成は、移動しながらの演奏、すなわちパレードに適した形態が基本となります。このため、据え置き型のドラムセットや電気楽器は用いられないのが一般的です。リズムセクションは通常3人組で構成され、バスドラム奏者とスネアドラム奏者が分かれてリズムを刻み、大型のチューバやスーザフォンが低音域の基盤となるベースラインを担当します。メロディ楽器としては、トランペットやトロンボーン、サクソフォーンといった管楽器が中心となり、しばしばクラリネットも加わります。伝統的な編成では、総勢6名から10名程度となることが多いです。

しかしながら、近年のニューオーリンズのブラスバンドシーンは大きく多様化しており、従来の枠にとらわれない自由な編成や演奏形態をとるグループも数多く登場しています。例えば、著名なダーティ・ダズン・ブラス・バンドは、一時的にスーザフォンに代えてエレクトリックベースを導入したり、伝統的なマーチングスタイルの打楽器だけでなくドラムセットを使用したりした時期がありました。また、BONERAMAのように、4本のトロンボーンをフィーチャーするというユニークな編成で知られるバンドも存在します。このように、時代と共に編成やスタイルは変化し続けています。

代表的なバンド

ニューオーリンズ・ブラスバンドのシーンには、伝統的なスタイルを大切にするグループから、新しいサウンドを追求するグループまで、様々なバンドが存在します。以下にその一部を挙げます。

伝統的なスタイルを受け継ぐバンド

オリンピア・ブラス・バンド (Olympia Brass Band)
トレメ・ブラス・バンド (Treme Brass Band)

ファンクなど新しいスタイルを取り入れたバンド

ダーティー・ダズン・ブラス・バンド (Dirty Dozen Brass Band)
ボーネラマ (Bonerama)
リバース・ブラス・バンド (Rebirth Brass Band)
ソウル・レベルス・ブラス・バンド (Soul Rebels Brass Band)
ニュー・バース・ブラス・バンド (New Birth Brass Band)

日本国内でニューオーリンズ・スタイルのブラスバンドとして活動する主なグループ

ブリッツ・アンド・スカッシュ (Blitz And Squash Brass Band) (大阪)
ブラック・ボトム・ブラス・バンド (Black Bottom Brass Band) (大阪)
リアル・ブラス (Real Brass) (東京)
スイーパズ・ブラス・バンド (Sweepaz Brass Band) (東京)
キキニット・ブラス・バンド (Kickin'it Brass Band) (東京)

関連する項目

* セカンド・ライン：ブラスバンドの演奏に合わせて人々が行進する、ニューオーリンズ独自の伝統的なパレード形式。この音楽の中心的な表現の場の一つです。

もう一度検索