ニューオーリンズの戦い

ニューオーリンズの戦いは、1812年戦争の終結間際に、1814年12月から1815年1月にかけて行われた、アメリカ軍とイギリス軍との間の重要な戦闘です。この戦いは、単に「ニューオーリンズの戦い」だけでなく、「シャルメット・プランテーションの戦い」とも呼ばれます。

戦闘に至るまでの経緯

1814年12月13日、イギリス軍がルイジアナ沿岸に到着し、アメリカ軍との緊張が高まりました。アメリカ軍の指揮官アンドリュー・ジャクソンは、イギリス軍の侵攻を阻止するため、ニューオーリンズからミシシッピ川を下流へ約8キロメートルの地点にあるシャルメットに陣を構え、先制攻撃を計画しました。

12月23日、アメリカ軍はイギリス軍の野営地を夜襲し、イギリス軍を一時的に撤退させました。この奇襲により、アメリカ軍はイギリス軍の装備や補給品を奪取し、ニューオーリンズへと帰還しました。

この最初の戦闘での両軍の損害は以下の通りです。

アメリカ軍:
死亡：24人
負傷：115人
不明・イギリス軍捕虜：74人
イギリス軍:
死亡：46人
負傷：167人
不明・アメリカ軍捕虜：64人

この夜襲によりイギリス軍の進軍は遅延し、その間にアメリカ軍はミシシッピ川東岸に土塁を築き、大砲を設置する時間を得ました。この土塁は「ライン・ジャクソン」と呼ばれました。

12月28日、パクナム少将率いるイギリス軍は土塁を攻撃しましたが、アメリカ軍は土塁に砲列を並べて応戦しました。1815年1月1日には、イギリス軍の主力部隊が到着し、アメリカ軍の土塁に対して激しい砲撃を開始しました。両軍の間で3時間に及ぶ砲撃戦が繰り広げられましたが、アメリカ軍はイギリス軍よりも弾薬を多く残しており、最終的にイギリス軍の砲撃は停止しました。

パクナム少将は、アメリカ先住民のヒッチティ族やイギリス領西インド諸島の黒人兵士を含む全軍を集結させ、総攻撃を決定しました。

戦況

1月8日、イギリス軍は3度にわたる攻撃を仕掛けましたが、アメリカ軍の堅固な防御によって、いずれも撃退されました。パクナム少将は3回目の攻撃中に負傷し、その後に死亡しましたが、彼は死ぬ直前まで攻撃を続行するよう命令していました。

この戦いでは、ジャン・ラフィット率いる海賊たちがアメリカ軍に加勢しました。彼らはイギリス軍と同じ赤い軍服を着用していたため、敵味方の区別が困難となり、この混乱を利用して、何人かの海賊はイギリス軍の部隊に紛れ込み、奇襲を成功させることができました。

この日の戦闘での両軍の損害は以下の通りです。

アメリカ軍:
死亡：13人
負傷：58人
イギリス軍:
死亡、負傷、捕虜：約2,000人

パクナム少将の死後、指揮を引き継いだジョン・ランバート将軍は撤退を命じ、イギリス軍は戦場から退却しました。

戦いの終結とその後

戦闘は1815年1月26日に終結しましたが、実際には約2週間前の1814年12月24日にガン条約が締結され、1812年戦争は終結していました。しかし、この条約の締結は、両軍の兵士たちには知らされていませんでした。

ニューオーリンズの戦いでのアメリカ軍の勝利は、指揮官であったアンドリュー・ジャクソンの評価を高め、後に彼は第7代アメリカ合衆国大統領に就任しました。

歌

この戦いを題材にした「ザ・バトル・オブ・ニューオーリンズ」という曲が、学校長兼歴史教師であったジミー・ドリフトウッドによって作詞作曲されました。ドリフトウッドは、学生が楽しみながら歴史を学べるようにこの曲を作りました。この曲は1959年にグラミー賞のソング・オブ・ザ・イヤーを受賞し、ジョニー・ホートンも同年にグラミー賞・ベスト・カントリー＆ウェスタン・パフォーマンス賞を受賞するなど、広く知られるようになりました。

この楽曲は、1959年のアメリカ国内で最も売れた曲となり、この戦いを題材とした映画「海賊」も話題になりました。この楽曲は、ニューオーリンズの戦いの日である「The 8th of January」という古いフィドル音楽を基にしています。

参考文献

Remini, Robert V. 『The Battle of New Orleans: Andrew Jackson and America's First Military Victory』Viking Penguin, 1999. ISBN 0670885517
Pickles, Tim 『New Orleans 1815; Osprey Campaign Series, #28』Osprey Publishing, 1993.

外部リンク

 ニューオーリンズの戦い — ルイジアナ州立博物館の要約、写真
History of Louisiana, Vol. 5, Chapter 10 — detailed account by Charles Gayarré
The Battle of New Orleans — detailed account by John Smith Kendall
The Glorious Eighth of January — colorful account by Grace King
Battle of New Orleans - 1959年、グラミー賞2部門受賞の Jimmy Driftwood の歌「ニューオーリンズの戦い」の歌詞

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