ニュージャージー交響楽団

ニュージャージー交響楽団

ニュージャージー交響楽団（英語: New Jersey Symphony）は、アメリカ合衆国ニュージャージー州ニューアークを本拠地として活動する、長い歴史を持つオーケストラです。

概要

楽団は1922年、初代音楽監督フィリップ・ジェームスによって創立されました。初期の活動を経て、1962年にケネス・シャーマーホーンが音楽監督に就任すると、ロジャー・セッションズのような現代作曲家に新作を委嘱するなど、プログラムに新たな風を吹き込み、楽団に変革をもたらしました。

特に特筆されるのは、1968年から音楽監督を務めたヘンリー・ルイスの時代です。彼はアメリカ主要オーケストラ史上初のアフリカ系アメリカ人音楽監督であり、その在任中、夫人のマリリン・ホーンをはじめ、マリアン・アンダーソン、ヴァン・クライバーン、ルチアーノ・パヴァロッティといった世界的な名ソリストたちを招聘しました。また、活発な楽旅を行うことで、楽団の芸術的なレベルを大きく引き上げました。しかし、その後楽団は財政的な困難に直面するなど、浮き沈みを経験する時期もありました。

1985年にヒュー・ウルフが音楽監督に就任すると、活動の幅をさらに広げました。公共放送で演奏を定期的に披露し、名門カーネギー・ホールでの公演を実現。さらに、楽団として初めての海外ツアーをアイルランドで行うなど、国際的な評価を高める礎を築きました。

1993年からはズデニェク・マーツァルがタクトを執り、委嘱作品や世界初演作品を積極的に演奏するレパートリー方針を推進しました。また、ドヴォルザーク、ムソルグスキー、グリーグなどの主要レパートリーを数多く主要レーベルに録音し、楽団のサウンドを広く知らしめました。

21世紀に入ってからも、ネーメ・ヤルヴィやジャック・ラコンブといった国際的に高い評価を得る指揮者が音楽監督を務め、楽団の伝統を受け継ぎながら新たな表現を追求しました。

2016年からは、中国出身の女性指揮者であるシャン・ジャン（張賢）が音楽監督に就任し、多様性と包容性を重視したプログラムを積極的に展開しています。これは現代社会の価値観を反映した、新たな楽団の方向性を示しています。

活動拠点としては、本拠地であるニューアークのパフォーミングアーツ・センターに加えて、ニュージャージー州内の各都市、例えばモリスタウン、ニューブランズウィック、プリンストン、レッドバンク、ジャージーシティなど、複数のコンサート会場で定期的に演奏会を開催しています。州全体を網羅する形で音楽を届け、地域社会との結びつきを大切にしています。

歴代音楽監督

楽団の歴史を彩る歴代の音楽監督は以下の通りです。

フィリップ・ジェームス (1922年–1929年)
ルネ・ポラン (1929年–1939年)
フリーダー・ワイスマン (1940年–1947年)
サミュエル・アンテック (1947年–1958年)
マティアス・アバス (1958年–1960年)
ケネス・シャーマーホーン (1962年–1968年)
ヘンリー・ルイス (1968年–1976年)
トーマス・ミハラク (1977年–1983年)
ヒュー・ウルフ (1985年–1993年)
ズデニェク・マーツァル (1993年–2002年)
ネーメ・ヤルヴィ (2005年–2009年)
ジャック・ラコンブ (2010年–2016年)
* シャン・ジャン (張賢) (2016年–現在)

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