ニュージーランド大学

ニュージーランド大学の知られざる歴史：オックスブリッジを模した大学群の興亡

ニュージーランド大学（The University of New Zealand、略称：UNZ）は、1870年から1961年まで存在した、ニュージーランドにおける高等教育機関の総称です。正式名称は「連邦ニュージーランド大学」で、イギリスのオックスフォード大学やケンブリッジ大学をモデルに、複数のカレッジから構成されるユニークなシステムでした。

オックスブリッジを模した高等教育システムの構築

1870年、連邦ニュージーランド大学法の制定により、ニュージーランド各地にカレッジが設立されました。この法律は、質の高い高等教育を全国に広めることを目的としており、各カレッジは独自の運営を行いながらも、ニュージーランド大学から学位を授与されるというシステムでした。

最初に設立された高等教育機関はオタゴ大学です。1869年の創立と1871年の開校という歴史を持ちますが、連邦ニュージーランド大学法制定後の1874年にニュージーランド大学に加盟しました。その後、カンタベリー・カレッジ（1873年）、カンタベリー農業カレッジ（1878年）、オークランド・カレッジ（1883年）、ヴィクトリア・カレッジ（1897年）、マッセー農業カレッジ（1927年開校）が設立され、それぞれが独自の教育プログラムを提供しながら、ニュージーランド大学全体の教育ネットワークを形成していきました。

各カレッジは、ニュージーランド大学の傘下で独自の教育プログラムを提供していましたが、学位はニュージーランド大学から授与される仕組みでした。これは、それぞれのカレッジの専門性を活かしつつ、全国的な学位の標準化を維持するという、巧妙なバランスの取れたシステムでした。

解体とその後：独立大学の誕生

1961年、連邦ニュージーランド大学は解体されました。これは、各カレッジが独立した大学として運営されるようになる転換期となりました。それぞれのカレッジは、大学としての自治権を獲得し、独自の運営形態を確立しました。

学生数の少なかったカンタベリー農業カレッジはリンカーン・カレッジと改称し、カンタベリー大学の構成校となりました。その後も、高等教育機関の数は増加し、1964年にはワイカト大学、2000年にはオークランド工科大学が設立されるなど、ニュージーランドの高等教育システムは大きく発展していきました。

ニュージーランド大学の歴史的意義

ニュージーランド大学は、単なる高等教育機関の集合体ではありませんでした。それは、質の高い高等教育を全国に普及させるための、画期的なシステムでした。オックスブリッジをモデルとした教育システムの導入や、各カレッジの個性と全国的な標準化のバランスを保つ仕組みは、ニュージーランドの高等教育発展に大きな貢献をしました。

1961年の解体は、各カレッジの自立を促し、ニュージーランド高等教育の多様化を促進するきっかけとなりました。その歴史は、今日のニュージーランドの高等教育システムの礎となっています。オタゴ大学、カンタベリー大学、オークランド大学、ヴィクトリア大学ウェリントン、マッセー大学、そしてリンカーン大学。これらの大学は、かつて一つの大学群として発展してきた歴史を共有し、現在もニュージーランド高等教育をリードしています。ニュージーランド大学の物語は、高等教育システムの変遷、そして国家の発展を考える上で、非常に重要な事例となっています。

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