ニュースの真相

映画『ニュースの真相』について

映画『ニュースの真相』は、2015年にアメリカとオーストラリアで製作されたドラマ映画で、ジョージ・W・ブッシュ大統領に関するスキャンダルを取り扱っています。監督のジェームズ・ヴァンダービルトにとっては映画監督デビュー作であり、主演にはケイト・ブランシェットとロバート・レッドフォードが名を連ねています。ちなみに本作はメアリー・メイプスが著した2005年の回顧録『大統領の疑惑』を基にしています。

ストーリーの背景

映画は2004年のアメリカ大統領選に向けた数ヶ月を舞台に、CBSの人気テレビ番組『60 Minutes II』のプロデューサーであるメアリー・メイプスが主人公です。彼女は部下たちと共に、ブッシュ大統領が従軍時に優遇されていたのではないかという疑惑を調査します。この疑惑は、ブッシュの軍歴に関わる記録が不自然に加工されたとされることから生じていました。特に、チャールズ中佐は「軍がそのような不始末を犯すことはない」と主張していました。

メイプスと彼女のチームは、ブッシュに関する重要な証拠を持つと主張する男、ビル・バーケットにたどり着きます。彼のメモ書きには、ブッシュの軍での優遇が記述されているとされました。メイプスはこの疑惑を報道する決断を下し、著名なジャーナリスト・ダン・ラザーと共に証拠を検証するチームを結成しました。

波紋を呼んだ報道

報道が番組で放送されると、世間は大きな反響を呼びました。しかし、メモ書きに対する疑義が次々と提起され、疑似証拠として断定する声も現れました。ネットでは「メモのフォントはMicrosoft Wordで作成されたものであり、当時のタイプライターでは作成不可能だ」との声が寄せられるなど、異論が続出しました。

事態が進むにつれ、バーケット自身も証拠の入手先について虚偽を述べていたことを告白し、報道はブッシュ大統領のスキャンダルではなく、CBSによる誤報事件として捉えられるようになってしまいました。メイプスの政治的立場まで疑問視され、CBSは調査委員会を設立しました。その結果、スタッフの解雇が相次ぎ、ラザーも番組を降板することとなってしまいました。メイプスは退任前の放送でも真実性を訴えましたが、その言葉は世間にはあまり響きませんでした。

作品の評価と論争

本作は、ブランシェットとレッドフォードの演技が高く評価されている一方で、その政治的バイアスから賛否が分かれています。映画批評サイトRotten Tomatoesでは63%の支持率を得ており、批評家からは「不適切なドラマにしてはならない実話をお手軽感に仕立て上げた」との見解も表明されています。

さらに、ダン・ラザーは本作を高く評価し、テレビニュース制作の内情を描写した中では最高の出来だとコメントしました。しかし、CBS社としてはこの映画が事実を歪曲しているとして、映画の広告を放映することを拒否しました。特に、映画の中で描かれた政府との関係性を巡っても批判が広がりました。

制作の経緯

映画の企画が始まったのは2007年で、制作に至るまでには長い時間がかかりました。2014年にはキャストの発表が行われ、撮影はシドニーで行われました。公開は2015年に行われ、映画祭巡業や限定公開も発表されましたが、期待された収益には至らなかったと言われています。

多くのメディアでは本作は興行的成功を収められなかったとされ、映画の完成度や内容に対する評価が分かれる結果となりました。

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