ニューポート海軍基地

ニューポート海軍基地

ニューポート海軍基地（Naval Station Newport, NAVSTA Newport）は、アメリカ合衆国ロードアイランド州のニューポート市とミドルタウン町にまたがる広大なアメリカ海軍の施設です。この基地は、入居する主要司令部や、国内外から寄港する艦隊の活動を支えるため、不可欠な施設やインフラストラクチャを提供することを主要な任務としています。

基地内には、海軍大学校や海軍司法学校といった、海軍における高度な教育研究機関が設置されています。かつては、大西洋艦隊の巡洋艦および駆逐艦部隊（COMCRUDESLANT）の主要な母港として機能していましたが、1970年代初頭にその役割はノーフォーク海軍基地へと移管されました。現在、ニューポート海軍基地の埠頭施設では、運用を休止した海軍および沿岸警備隊の船舶の管理も行われています。

2005年の基地閉鎖・再編委員会（BRAC）の勧告を受け、ニューポート海軍基地はその機能をさらに拡大・強化しました。この再編により、500人以上の人員が増員され、海軍士官候補生学校（OCS）や海軍補給隊学校がバージニア州から移転してきました。さらに、陸軍予備軍の一部部隊もこの基地に移駐し、三軍が共同で利用する拠点としての側面も持ち合わせるようになりました。

歴史

ロードアイランド州とアメリカ海軍の関わりは、1870年代後半に遡ります。海軍省が正式にニューポート訓練所を設立したのは1883年ですが、その前身となる活動はこの時期から始まっていました。当初、訓練所は主に男子年少者に対して約10ヶ月間の基礎教育を提供することを目的としていました。設立当初は750人の訓練生が水上で訓練を受けていましたが、1887年には訓練施設が完全に陸上へと移行しました。

南北戦争中、メリーランド州アナポリスに位置する海軍兵学校は、紛争地帯に近いことから一時的にニューポートへ疎開しました。「コンスティチューション」「サンティー」「ジョン・アダムス」といった歴史的な訓練船もこの時期にニューポートへ移され、北軍の士官候補生に対する重要な訓練が行われました。

第一次世界大戦が1914年に勃発すると、戦争準備の一環として訓練所は大規模な駐屯地へと拡張されました。1916年までには7,215人の兵士が駐留し、基地内には下士官学校、信号学校、病院部隊訓練学校、将校学校、音楽隊学校、消防士学校など、多様な専門学校が開設されました。1917年4月にアメリカ合衆国が正式に第一次世界大戦に参戦すると、ニューポート海軍基地はさらに規模を拡大し、10,000人の追加収容能力を持つことが認められました。このため、コースターズ島にはキャンプ・サドラー、本土にはキャンプ・パーマーと呼ばれる仮設の兵舎や食堂、付帯施設が建設され、特にキャンプ・パーマーは2,800人の新兵を収容するテント村でした。1917年に兵役特例法が施行されると、訓練生は毎月平均15,000人に達しました。また、この頃から女性も海軍への入隊が可能となり、徴兵対象ではなかったものの、基地の規模拡大と人員増加に貢献しました。第一次世界大戦中、ニューポート訓練所は数千人の海軍予備兵と65,000人以上の水兵を育成し、各方面へ送り出しました。しかし、1919年には、基地内で発生した同性愛に関する調査に端を発する「ニューポート基地性的スキャンダル」という歴史的な事件も起きています。

現在の運用と所属部隊

ニューポート海軍基地は、退役艦船の管理において重要な役割を担っています。かつては空母「フォレスタル」がフィラデルフィアの非活動船保管施設へ曳航される前の最後の母港となり、退役した空母「サラトガ」もここに係留されていました。「サラトガ」は2014年5月に解体のため売却されました。現在、退役した空母「ジョン・F・ケネディ」（CV-67）が基地の第2埠頭に係留されており、ロードアイランド航空ホールオブフェイムによって引き取られる予定です。また、基地内にはニューイングランド海軍病院があり、関係者への医療サービスを提供しています。

ニューポート海軍基地には、海軍、海兵隊、沿岸警備隊、そして海洋大気局（NOAA）の多様な部隊や施設が所属しています。

海軍関連施設:
爆発物処理機動隊 第2分遣隊
第8沿岸河川部隊
第7海軍建設連隊
海軍水中戦センター
海軍予科士官学校
海軍司法学校
海軍補給隊学校
海軍大学校
士官候補生学校（OCS）
Officer Development School (ODS)
Direct Commission Officer Indoctrination Course (DCO)
上級士官学校
地上戦担当官学校
NAVFAC Mid-Atlantic Public Works Department Newport
Navy Operational Support Center Newport
ノースイースト音楽隊

海兵隊:
Marine Corps Detachment Newport (MARDET)

沿岸警備隊:
キーパー級設標船「アイダ・ルイス」（WLM-551）
ジュニパー級設標船「ジュニパー」（WLB-201）
ジュニパー級設標船「ウィロー」（WLB-202）
USCG Electronics Support Detachment Detal (ESDD) Castle Hill
USCG Maintenance Augmentation Team (MAT) Newport

海洋大気局 (NOAA):
* 漁業調査船「ヘンリー・B・ビゲロー」（R 225）

これらの多様な組織が集まることにより、ニューポート海軍基地は教育、研究、艦船管理、作戦支援といった多岐にわたる機能を持つ複合的な軍事・政府施設として重要な役割を担っています。

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