ニューモウイルス科

ニューモウイルス科（Pneumoviridae）は、モノネガウイルス目に属するウイルスの一分類群です。2019年現在、この科にはオルソニューモウイルス属とメタニューモウイルス属の2つの属があり、合計5つの種が分類されています。

分類

オルソニューモウイルス属（Orthopneumovirus）

オルソニューモウイルス属は、ニューモウイルス科に属する主要な属の一つで、以下の3つの種が含まれます。

ウシオルソニューモウイルス（Bovine orthopneumovirus）
ウシオルソニューモウイルスは、牛の呼吸器疾患の一般的な原因として知られています。牛RSウイルスとも呼ばれ、子牛において呼吸器感染症を引き起こし、経済的な損失をもたらすことがあります。感染した牛は、発熱、咳、鼻水などの症状を示し、重症化すると肺炎を引き起こすこともあります。
ヒトオルソニューモウイルス（Human orthopneumovirus）
ヒトオルソニューモウイルスは、一般的にRSウイルス（Respiratory syncytial virus）として知られており、ヒトの呼吸器感染症の主要な原因の一つです。特に乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人に重症化しやすい傾向があります。RSウイルス感染症は、風邪のような症状から、気管支炎や肺炎などの重篤な呼吸器疾患を引き起こす可能性があります。感染は、主に飛沫感染によって広がり、冬期に流行することが多いです。
ネズミオルソニューモウイルス（Murine orthopneumovirus）
ネズミオルソニューモウイルスは、実験動物であるマウスやラットなどの齧歯類に感染するウイルスです。このウイルスは、動物実験モデルにおいて、ヒトのRSウイルスの研究に使用されることがあります。また、実験動物の健康管理においても重要なウイルスの一つです。

メタニューモウイルス属（Metapneumovirus）

メタニューモウイルス属は、もう一つの主要な属であり、以下の2つの種が含まれます。

ヒトメタニューモウイルス（Human metapneumovirus）
ヒトメタニューモウイルスは、1990年代初頭に発見された比較的新しいウイルスで、世界中でヒトの呼吸器感染症の原因となっています。RSウイルスと同様に、乳幼児や高齢者に感染しやすく、風邪のような症状を引き起こすことが多いです。また、気管支炎や肺炎などの重篤な呼吸器疾患を引き起こすこともあります。RSウイルスと症状が似ているため、鑑別診断が必要になることがあります。
* トリメタニューモウイルス（Avian metapneumovirus）
トリメタニューモウイルスは、鶏や七面鳥などの家禽に呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。このウイルスは、家禽産業において、経済的な損失をもたらす可能性があります。感染した鳥は、咳、鼻水、呼吸困難などの症状を示します。ワクチンの開発や衛生管理が、このウイルスの感染制御に重要となります。

まとめ

ニューモウイルス科に属するこれらのウイルスは、ヒトや動物において重要な呼吸器病原体であり、感染症対策やワクチンの開発が重要です。特にRSウイルスやヒトメタニューモウイルスは、乳幼児や高齢者において重症化しやすいため、注意が必要です。感染経路を遮断し、適切な治療と予防を行うことで、これらのウイルスによる健康被害を最小限に抑えることができます。

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