モノネガウイルス目

モノネガウイルス目（Mononegavirales）は、ウイルス分類学における一目で、その特徴はゲノムに非分節マイナス鎖RNAを持つことです。このグループには、様々な科のウイルスが含まれており、それぞれが特有の構造と病原性を持っています。モノネガウイルス目に属するウイルスは、ヒトを含む多くの動物種に感染し、深刻な疾患を引き起こす可能性があります。

モノネガウイルス目の主要な科

1. ボルナウイルス科（Bornaviridae）:
この科に属するボルナ病ウイルスは、中枢神経系に感染し、ボルナ病を引き起こします。ボルナ病は、動物の行動や神経機能に異常をもたらすことが知られています。

2. ラブドウイルス科（Rhabdoviridae）:
ラブドウイルス科には、狂犬病ウイルスが含まれます。狂犬病は、感染した動物の唾液を通じてヒトに感染し、中枢神経系に致命的な影響を与える可能性があります。

3. フィロウイルス科（Filoviridae）:
フィロウイルス科には、マールブルグウイルスやエボラウイルスなど、重篤な出血熱を引き起こすウイルスが含まれます。これらのウイルスは、高い致死率で知られており、国際的な公衆衛生上の脅威となっています。

4. パラミクソウイルス科（Paramyxoviridae）:
この科には、ニューカッスル病ウイルス、麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルスなどが含まれます。麻疹は、小児に深刻な合併症を引き起こす可能性がある感染症であり、世界中で予防接種の対象となっています。

5. ニューモウイルス科（Pneumoviridae）:
ニューモウイルス科には、ヒトオルトニューモウイルス（RSウイルス）が含まれます。RSウイルスは、特に乳幼児において、呼吸器感染症の一般的な原因であり、重症化することもあります。

モノネガウイルス目に関連する感染症

モノネガウイルス目に属するウイルスが原因となる感染症は、ヒトにとって非常に重要なものが多いです。これらの感染症は、古くから知られているものもあれば、近年になって出現した新興感染症もあります。

従来から知られている感染症:
流行性耳下腺炎（おたふく風邪）: パラミクソウイルス科のウイルスが原因で、唾液腺の腫れと痛みを引き起こします。
麻疹: パラミクソウイルス科の麻疹ウイルスによって引き起こされ、発熱や発疹を伴う感染症です。
狂犬病: ラブドウイルス科の狂犬病ウイルスによって引き起こされ、中枢神経系に影響を与え、致死的な感染症です。

新興感染症:
エボラ出血熱: フィロウイルス科のエボラウイルスによって引き起こされ、高致死率の出血熱です。
ボルナ病: ボルナウイルス科のボルナ病ウイルスによって引き起こされ、中枢神経系に影響を与えます。
ヘンドラウイルス感染症: ヘンドラウイルスによる感染症で、コウモリを自然宿主とし、馬やヒトに感染します。
ニパウイルス感染症: ニパウイルスによって引き起こされ、重篤な呼吸器疾患や脳炎を引き起こす可能性があります。

これらの感染症は、世界中で発生しており、公衆衛生上の大きな課題となっています。モノネガウイルス目のウイルスの研究は、これらの感染症の予防、治療、そして感染拡大の防止に不可欠です。ウイルスの特性を理解し、より効果的な対策を講じるためには、継続的な研究と国際的な協力が重要になります。

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