ニューヨーク山中商会

ニューヨーク山中商会の歴史

ニューヨーク山中商会（Yamanaka & Co., Inc., New York）は、1894年に大阪の山中家がアメリカに開店した美術商で、多くの芸術作品を取り扱っていました。この店舗は、当初からアメリカの芸術市場に影響を与える存在となり、21世紀の美術商にとって重要な位置を占めていました。

1. 開業と成長

1894年11月、大阪の山中商会から山中定次郎と山中繁次郎がニューヨークへ渡航し、ニューヨーク市の西27丁目で仮店舗を開設しました。翌年の1895年には、マディソン街近くの別の場所に移転し、順調に業務を拡大しました。1896年にはアメリカン・アート・アソシエーションで競売を開催し、多くの漆器や絵画、版画を取り扱う機会を得ました。そして1898年に5番街254番地へ進出し、さらなる成長を遂げます。

2. 最盛期

1912年、山中商会は中国の愛新覚羅溥偉から譲り受けた珍しい作品をアメリカン・アート・ギャラリーズで展示し、多大なメディアの注目を浴びました。1917年には、5番街の中心部にあるロックフェラービルに移転し、この地点が山中商会の顔ともなる店舗となりました。設計は有名なジョン・ロックフェラー2世が手掛け、豪華で機能的な空間が用意されました。

この時期、山中商会は特に中国美術品の輸入に力を入れ、多くの著名なコレクターや愛好家に支持されたため、非常に活気にあふれていました。

3. 戦争と閉店

しかし、1930年代に入ると、中国での不安定な情勢や世界恐慌の影響を受け、資金繰りが厳しくなります。1932年にはバザーセールを開催するなどして、経営の立て直しを図りました。ところが、1941年の真珠湾攻撃以降、日本とアメリカの緊張関係が高まり、在アメリカの日本資産が凍結されます。その結果、山中商会は衰退を余儀なくされ、1944年には正式に閉店となりました。

業務の終了に伴い、残った在庫は競売にかけられ、法人自体も解散されました。これにより、120年以上にわたる美術商としての歴史が幕を下ろしました。

4. 戦後の展開

戦後、元従業員のクレア・マクレディがパーク街に店舗を開き、山中商会の再出店を試みましたが、結局1966年には閉店しています。このように、戦後もブランドの名は残り続けましたが、かつての栄光は戻ることなく、歴史の一部となりました。

5. 影響を受けた人物

山中商会には多くの才能ある人物が関与しており、彼らの努力が同社の名声を築く一因となりました。初代店長である山中定次郎や、他の多くの社員が、この美術商の発展に寄与しました。また、その後に続く者たちも、商会を通じて美術品の重要性を広めていきました。

このように、ニューヨーク山中商会は、短期間ではあったものの、アメリカにおける東洋美術の普及に貢献した重要な存在でありました。

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