ニューリン派

ニューリン派：イギリス自然主義絵画の一潮流

ニューリン派（Newlyn School）は、1880年代から20世紀初頭にかけて、イギリスのコーンウォール地方、ペンザンス近郊の漁村ニューリンに集まった画家たちの総称です。彼らは、19世紀半ばのフランスで興ったバルビゾン派の影響を受け、自然主義的な風景画や農民の生活を写実的に描きました。

ニューリン派の成立と展開

ニューリン派の始まりは、1882年にウォルター・ラングレーがニューリンに移住したことに遡ります。彼の後を追うように、エドウィン・ハリス、ラルフ・トッド、フレデリク・ホール、フランク・ブラムリー、トーマス・クーパー・ゴッチらがニューリンに集まりました。1884年には、スタンホープ・フォーブスがニューリンに居を構え、やがてグループのリーダー的存在となり、ニューリン派の創立者と見なされるようになりました。

1884年にはアルバート・シュヴァリエ・テイラー、ヘンリー・スコット・テューク、フレデリック・ミラードなども加わり、その勢いは増しました。同年の地元新聞「The Cornishman」は、27人もの画家がニューリンに滞在していると報じています。1885年にはパーシー・ロバート・クラフト、エリザベス・アームストロング（後のフォーブスの妻）、1886年にはノーマン・ガースティンといった、影響力のある画家たちが次々とニューリンに集まりました。

1887年、ゴッチらはニューリン・アート・ギャラリーを設立し、画家たちの作品を展示する場を設けました。このギャラリーは、その後も多くの作品を所蔵するようになります。また、ゴッチは工芸教室（Newlyn Industrial Classes）を開設し、地元の若者たちに様々な工芸技術を教えました。

ニューリンは、美しい自然景観、比較的安い生活費、モデルを雇いやすい環境など、画家たちにとって魅力的な要素を備えていました。彼らは、漁師たちの日常や港の風景などを題材に、独自の絵画世界を築き上げました。

1880年代から1900年頃まで、ニューリンは芸術家たちの集まる場所として知られ、およそ120人もの画家がコーンウォールを訪れました。その後、ニューリンを離れる画家もいましたが、フォーブス夫妻は1899年に美術学校（Newlyn School of Painting）を設立し、若い才能を育成しました。この学校からは、アーネスト・プロクターやドッド・プロクターといった画家が育ちました。また、バーチ夫妻（サミュエル・ジョン・バーチ、ラモーナ・バーチ）は、近隣のラモーナに居を構え、スタンリー・ガーディナー、フランク・ガスコイン・ヒース、ナイト夫妻（ハロルド・ナイト、ローラ・ナイト）らと共に、ラモーナ・グループを形成しました。

ニューリン派の画家たち（一部）

スタンホープ・フォーブス
ウォルター・ラングレー
トーマス・クーパー・ゴッチ
フランク・ブラムリー
エリザベス・フォーブス
ヘンリー・スコット・テューク

ニューリン派の作品の特徴

漁師や農民の生活を写実的に描いた作品
自然光を重視した明るい色彩
印象派とは異なる、独自の自然主義

参考文献

Caroline Fox: Artists of the Newlyn School, 1880–1900. Newlyn Orion Galleries, Newlyn 1979, ISBN 0-9506579-0-5.
* Caroline Fox: Painting in Newlyn, 1880–1930. Barbican Art Gallery, London 1985, ISBN 0-9463721-0-1.

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