フランク・ブラムリー

フランク・ブラムリー：光と物語を紡いだニューリン派の画家

フランク・ブラムリー（Frank Bramley RA 、1857年5月6日 - 1915年8月9日）は、イギリスの画家であり、ポスト印象派の潮流の中で独自の地位を築きました。彼は、コーンウォールの漁村ニューリンに集まった芸術家グループ、「ニューリン派」の画家の一人として知られています。

生涯

ブラムリーは、リンカンシャーのSibseyで生まれました。1873年から1878年までリンカーン美術学校で学び、その後、1879年からアントウェルペン王立芸術学院でシャルル・ヴェルラに師事しました。ヴェルラの元では、後にニューリン派を形成するエドウィン・ハリス、トーマス・クーパー・ゴッチ、ノーマン・ガースティンらも学んでいます。

1882年から1884年まで、ブラムリーはイタリアのヴェネツィアを旅し、帰国後、ウォルター・ラングレーに続いてコーンウォールに移り住み、ニューリン派の画家たちと交流を深めました。しかし、他のニューリン派の画家たちが戸外の風景を描くのを好んだのに対し、ブラムリーは室内の人工的な光の中で展開される情景を描くことを得意としました。

1884年から1912年まで、ブラムリーは毎年ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの展覧会に出品していました。しかし、ロイヤル・アカデミーの保守的な運営に反発し、ゴッチ、ジョン・シンガー・サージェント、スタンホープ・フォーブスらと共に、ニュー・イングリッシュ・アート・クラブの創立メンバーに加わりました。この時期、彼はフォーブスと親交を深め、また、ロイヤル・アカデミーに批判的だったジェームズ・マクニール・ホイッスラーとも親しく交流しました。

1888年の作品「A Hopeless Dawn（絶望の夜明け）」は、ブラムリーの画家としての地位を確立する上で重要な役割を果たしました。この作品は、その物語性のある雰囲気で広く好評を博しました。1890年代に入ると、彼の画面はより明るい色調へと変化していきました。

1891年に結婚し、1894年にはロイヤル・アカデミーの準会員に選出され、1911年には正会員となりました。1895年にニューリンを離れ、イングランド中部のウェスト・ミッドランズのDroitwichに移り住み、1900年からはGrasmereで生活しました。

作風と主要作品

ブラムリーの作風は、室内における光の表現と、そこに描かれる人々の感情や物語性を重視している点が特徴です。「A Hopeless Dawn」は、その代表的な作品であり、暗い室内で悲しみに暮れる人々を描き出し、観る者の心を強く揺さぶります。また、彼の作品には、家族の絆や愛情といった普遍的なテーマが込められているものも多く、時代を超えて人々の共感を呼んでいます。

ニューリン派における位置づけ

ブラムリーは、ニューリン派の中でも、独自のスタイルを確立した画家として評価されています。他の画家たちが風景画を多く手掛けたのに対し、彼は室内画にこだわり、光と影のコントラストを巧みに利用することで、ドラマチックな情景を描き出しました。彼の作品は、ニューリン派の多様性を示すとともに、イギリス美術史における重要な位置を占めています。

フランク・ブラムリーは、その繊細な筆致と豊かな感情表現によって、数多くの人々に感動を与え続けています。彼の作品は、美術館やギャラリーで鑑賞することができるほか、画集やインターネットを通じて、その魅力を堪能することができます。

参考資料

Frank Bramley, 1857-1915 The Correspondence of James McNeill Whistler,Room 415, Boyd Orr Building University of Glasgow
Frank Bramley www.tate.org.uk
* Frank BRAMLEY Cornwall Artists Index

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