ニュー・タトゥー

モトリー・クルー『ニュー・タトゥー』：変化と回帰が交錯する問題作

モトリー・クルーが2000年にリリースした8枚目のスタジオアルバム『ニュー・タトゥー』は、バンドにとって重要な転換期に制作された作品です。前作『ジェネレーション・スワイン』で試みたデジタルサウンドから一転し、よりストレートなロックンロールへの回帰が見られます。

ドラマー交代劇と新たなサウンドへの挑戦

1999年のツアー終了後、長年バンドを支えてきたドラマーのトミー・リーが音楽性の違いを理由に脱退。後任には、オジー・オズボーンのバンドで活躍していたランディ・カスティロが加入しました。カスティロの加入は、バンドのサウンドに新たな風を吹き込むと同時に、過去のサウンドへの回帰を促す触媒となりました。

サウンドの変化と評価

『ニュー・タトゥー』は、前作の実験的なサウンドとは異なり、モトリー・クルーのルーツであるハードロック、グラムメタルに根ざした楽曲が多く収録されています。しかし、全米アルバムチャートでは41位と、商業的には成功を収めることができませんでした。この結果は、サウンドの変化に対するファンの反応が分かれたこと、音楽シーンのトレンドの変化などが複合的に影響したと考えられます。

楽曲解説

アルバムには、「ヘル・オン・ハイヒールズ」や「ニュー・タトゥー」など、ライブでも人気の高い楽曲が収録されています。また、「ホワイト・パンクス・オン・ドープ」は、The Tubesのカバーであり、モトリー・クルーらしい解釈が加えられています。

ヘル・オン・ハイヒールズ - Hell On High Heels
トリート・ミー・ライク・ザ・ドッグ - Treat Me Like The Dog I Am
ニュー・タトゥー - New Tattoo
ドラッグストリップ・スーパースター - Dragstrip Superstar
ファースト・バンド・オン・ザ・ムーン - 1st Band On The Moon
シー・ニーズ・ロックン・ロール - She Needs Rock N Roll
パンチド・イン・ザ・ティース・バイ・ラヴ - Punched In The Teeth By Love
ハリウッド・エンディング - Hollywood Ending
フェイク - Fake
ポルノ・スター - Porno Star
ホワイト・パンクス・オン・ドープ - White Punks On Dope

ボーナストラックとライブ音源

2003年のレーベル移籍の際には、エンハンスド・ビデオトラックとして「ヘル・オン・ハイヒールズ」のミュージックビデオが追加収録されました。さらに、ライブ音源6曲を収めたボーナスディスクが同梱され、ファンにとっては嬉しいサプライズとなりました。これらのライブ音源は、2000年にソルトレイクシティで収録されたもので、モトリー・クルーのライブパフォーマンスの熱狂を追体験することができます。

まとめ

『ニュー・タトゥー』は、モトリー・クルーのディスコグラフィーの中でも賛否両論が分かれる作品ですが、バンドの音楽性の変化、メンバー交代劇など、様々な要素が複雑に絡み合った興味深いアルバムです。彼らの音楽的探求心と、常に変化を恐れない姿勢が表れています。

参加ミュージシャン

ヴィンス・ニール (Vince Neil) - ボーカル
ミック・マーズ (Mick Mars) - ギター
ニッキー・シックス (Nikki Sixx) - ベース
* ランディ・カスティロ (Randy Castillo) - ドラム

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