ニョグタ

ニョグタ：クトゥルフ神話の粘る闇

クトゥルフ神話に登場する、異形の存在、ニョグタ。その名は恐怖と畏怖を呼び起こす、闇に潜む古きものの一つとして知られています。

姿形と住処

ニョグタは、粘性のある黒いアメーバ状の姿をしていると伝えられています。まるで、闇そのものが動き出したかのような、形容しがたい不気味さを湛えています。その住処は、タタールのタンの洞窟という、地底深くに広がる、薄気味悪い空間です。地底の亀裂を通じて、この世にその姿を現すと言われています。

召喚と退散

ニョグタは、何らかの儀式によって召喚されると考えられています。文献からは、その召喚方法の詳細は不明な点が多いですが、闇に深く結びついた儀式であることは確かでしょう。一方で、興味深いことに、ニョグタを退散させる方法も伝えられています。それは、「環頭十字架」、「ヴァク＝ヴィラの呪文」、そして「ティクゥオン霊液」という三つのアイテムを用いた儀式です。これらのアイテムを適切に用いることで、この恐るべき存在をこの世から追い払うことが可能だとされています。しかし、その儀式には高度な魔術の知識と、並々ならぬ危険が伴うことは想像に難くありません。

信仰と関連性

魔女アビゲイル・プリンは、ニョグタを崇拝していたという記録が残されています。彼女のような強力な魔術師ですら、ニョグタに魅入られたとすれば、その恐るべき力は想像を絶するものと言えるでしょう。
ニョグタは、グールと呼ばれる死者の亡霊とも関連付けられています。グールの神、あるいは守護神として、死者の世界を司る存在なのかもしれません。

さらに、ニョグタは、他のクトゥルフ神話の邪神とも関係があるとされています。特に、シアエガという兄弟とされる邪神、そしてナイアーラトテップという、混沌そのものを体現するような存在との関連性が指摘されています。これらの邪神たちがどのように結びついているのか、その関係性は未だ謎に包まれています。

ニョグタが登場する作品

ニョグタは、クトゥルフ神話を取り扱った様々な作品に登場し、その異様な存在感を示しています。代表的な作品としては、ヘンリー・カットナーの『セイレムの恐怖』、リン・カーターの『窖に通じる階段』が挙げられます。その他にも、ジョセフ・ペイン・ブレナンの『第七の呪文』、ブライアン・ラムレイの『地を穿つ魔』、そしてTRPG『クトゥルフの呼び声』のシナリオ「ニャルラトテップの仮面」などにも登場し、物語に深みと恐怖を与えています。これらの作品を通じて、ニョグタの異様な存在感、そしてクトゥルフ神話の奥深い世界観に触れることができます。

謎多き存在

ニョグタに関する情報は断片的であり、その全貌は未だ解明されていません。アメーバ状の姿、地底の住処、召喚と退散の方法、そして他の邪神との関連性など、多くの謎が残されています。クトゥルフ神話の研究者たちは、今後もこれらの謎を解き明かそうと、研究を続けていることでしょう。その謎めいた存在こそが、ニョグタをより一層魅力的な存在にしているのかもしれません。

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