ニーラ (インド神話)

ニーラ：インド神話のヴァナラ族の英雄

ニーラ（梵: नील, Nīla）は、インド神話における重要なキャラクターであり、猿の種族であるヴァナラ族の一員です。その名前は「青」を意味し、神話の中で彼は火の神アグニの子とされています。彼はヴァナラ族の指導者たちに仕え、特に王であるヴァーリンとスグリーヴァのもとで活躍しました。ニーラは大叙事詩『ラーマーヤナ』に登場し、アヨーディヤーの王子ラーマとラーヴァナの壮絶な戦争において貴重な戦士としての役割を果たしました。

ニーラの戦いの舞台

スグリーヴァが王位に就くと、彼は行方不明となっているラーマの妻シーターを探すため、ヴァナラ族の全軍を動員しました。この任務において、ニーラは重要な役割を担い、各地からヴァナラ族の戦士を呼び集めました。彼はアンガダやブリハッドヴァジャの指揮の下、ハヌマーン、ジャームバヴァット、マインダ、アグニプトラ、ガヤらと共に南方への捜索隊に加わり、ヴィンディヤ山脈やダンダカの森、マラヤ山脈など、多くの地域を捜索しました。

ランカー島での戦闘

ラーマ王子がヴァナラ軍を率いてランカー島に上陸すると、ニーラはアンガダとともに軍の正面中央に配置されました。そのため、敵側のラークシャサのスパイであるサーラナによって最初に名を挙げられるほどの重要なポジションにありました。ニーラは、マインダやドゥヴィヴィダと共に城壁の東門を攻撃し、敵軍の総帥プラハスタと激しい戦闘を繰り広げます。

ニーラの武勇

この戦争におけるニーラの最大の功績は、プラハスタを討ち取ったことです。彼はプラハスタの矢の攻撃を耐えつつ、木の枝を巧みに使いプラハスタの馬を殺し、その弓を破壊しました。プラハスタが棍棒を手にし、戦車から飛び降りた後、二人は互いの武器で激しく打ち合いましたが、ニーラは相手に大岩を投げつけて彼を討ち取ります。

また、戦の後半ではアンガダがトリシラスやマホーダラから攻撃を受けている際、ニーラはハヌマーンと共に迅速に彼を救援し、再度巨岩を使ってマホーダラを始末しました。こうしてニーラは数々の戦闘で活躍し、最終的には他のヴァナラ族の将たちと共にアヨーディヤーを訪れ、ラーマの即位式に出席することとなります。

ニーラに関するその他の情報

ニーラは『マハーバーラタ』にも登場しており、クルクシェートラの戦いでアシュヴァッターマンによって殺されるという運命を辿ります。またニーラという名前は、スメール山の南にある山脈の名称としても知られています。

ニーラはインド神話において、彼の勇気と忠誠心で多くの人々に記憶されています。彼の物語は、敵との戦いの中での仲間との絆や、忠義、自己犠牲の重要性を示すものとして、今なお語り継がれています。

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