ニール・ゲーレルス・スウィフト

ニール・ゲーレルス・スウィフト (Neil Gehrels Swift Observatory) について

ニール・ゲーレルス・スウィフトは、2004年11月20日にデルタIIロケットによって打ち上げられたガンマ線バースト観測のための宇宙望遠鏡である。以前はスウィフトと呼ばれ、NASAのエクスプローラー計画の一環として、アメリカ、イギリス、イタリアの共同開発によるものである。現在はNASAのゴダード宇宙飛行センターが運営を行っている。

2018年1月10日、ミッションを牽引した故ニール・ゲーレルスの功績を称え、宇宙機が「ニール・ゲーレルス・スウィフト」と改名された。彼は2017年に逝去したが、彼の名前はこの先も宇宙観測の世界で語り継がれることだろう。

スウィフトの機能と役割

スウィフトは、複数の波長を同時に観測する能力を持つ宇宙望遠鏡であり、特にガンマ線バーストの研究に重宝されている。3つの異なる観測機器を搭載し、ガンマ線、X線、および紫外線から可視光までの広範囲にわたって天体の観測を行うことができる。

その中でも、ガンマ線バーストの発生を監視しているのが「バーストアラートテレスコープ（BAT）」である。BATは、2ステラジアンの視野を持ち、ガンマ線領域（15-150k電子ボルト）でバーストを検出する役割を担っている。発生が確認されると、宇宙機はその方向へと迅速に向きを変え、さらなる観測を行う。この迅速な動きが「スウィフト」という名の由来だ。

スウィフトがガンマ線バーストを検出すると、その情報は即座に地上に伝えられ、研究者は大型望遠鏡を使ってバーストの詳細を観測することが可能である。ガンマ線バーストがない時間帯には、他の観測目的にスウィフトを利用したい外部研究者からのリクエストも受け入れている。なお、スウィフトのミッションオペレーティングセンターはペンシルベニア州のステートカレッジに位置しており、ペンシルベニア州立大学とその関連企業が運営している。

観測装置の詳細

バーストアラートテレスコープ (BAT)

BATは、ガンマ線バーストを検出するための重要な観測装置であり、年に約100回のバーストを発見しています。バースト検出後は宇宙機が自らの向きを変え、追観測が行われる。

X線望遠鏡 (XRT)

次に、BATが捉えたバーストをX線（0.3-10k電子ボルト）でさらに詳細に観測できるのがXRTである。残光のスペクトル分析やバーストの位置の改善にも役立てられるこの装置は、以前のJET-X宇宙望遠鏡用に開発された技術を基にしている。

紫外/可視光望遠鏡 (UVOT)

UVOTもバーストの追観測に利用され、紫外線と可視光（170-600ナノメートル）で残光を観測する。精度は0.5秒角と高く、発生位置を特定する能力がある。特に明るい残光では、そのスペクトルを観測することができ、赤方偏移をもとにバーストまでの距離を測定することが可能だ。

まとめ

ニール・ゲーレルス・スウィフトは、ガンマ線バースト研究において極めて重要な役割を果たしており、その優れた観測能力のおかげで、宇宙の神秘に迫る手助けを続けている。国際共同での開発と運用は、宇宙探査における協力の一例といえるだろう。

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