ヌママムシ

ヌママムシ（沼蝮）

ヌママムシは、学名を Agkistrodon piscivorus といい、ヘビ亜目クサリヘビ科に分類される爬虫類です。アメリカマムシ属の一員であり、日本では「特定動物」に指定されています。

分布

このヘビは、アメリカ合衆国の東部から南部にかけての地域にのみ生息する固有種です。

形態

成体の全長は最大で190センチメートルにも達することがあり、体つきは比較的がっしりとして太いのが特徴です。体色は主に褐色を基調としていますが、個体による変異が大きく見られます。体には不明瞭な暗色の横帯や斑紋が入ります。幼い頃はこれらの斑紋が比較的はっきりしていますが、成長するにつれて模様は次第にぼやけていきます。

頭部は比較的大型です。ヌママムシの最も特徴的な形態の一つは、大きく開けた口の内部が驚くほど白いことでしょう。この口の白い様子から、英名では「Cottonmouth」（綿のような口）と呼ばれています。

毒性

ヌママムシは出血毒を持っています。咬まれた場合、激しい痛みや腫れ、組織の破壊を引き起こし、かつては命にかかわることもありました。しかし、近年の医療技術の進歩により、適切な治療が行われれば致命率は低くなっています。

生態

主に河川や沼地、湿地帯といった水辺環境に生息しており、泳ぎが得意なため頻繁に水中に姿を見せます。

性格としては、危険を察知すると、まず威嚇行動をとります。大きく口を開けて、その内部の白い部分を見せつけながら体を震わせたりします。この威嚇行動でも相手が退かない場合に、最終手段として咬みついて身を守ります。

食性は動物食であり、非常に幅広い獲物を捕食します。魚類やカエルなどの両生類、他のヘビやトカゲといった爬虫類、鳥類とその卵、さらには小型の哺乳類や動物の死骸まで、機会があれば様々なものを食べます。

繁殖は卵胎生で行われ、メスは胎内で卵を孵化させてから子供を産みます。一度に出産する幼蛇の数は、一般的に1匹から多くて16匹程度です。

人間との関係

毒を持つヘビであることから、人間によって危険な動物として認識され、駆除されることもあります。また、残念なことに、本種だけでなく、毒性のないヘビを含め、他のヘビがヌママムシと間違われて駆除されてしまうケースも見られます。

亜種

ヌママムシには、以下の3つの亜種が知られています。

Agkistrodon piscivorus conanti
Agkistrodon piscivorus leucostoma
* Agkistrodon piscivorus piscivorus

これらの亜種は、分布域や形態のわずかな違いによって区別されています。

もう一度検索