ヌメリガサ科

ヌメリガサ科（Hygrophoraceae）

ヌメリガサ科は、担子菌門、真正担子菌綱、ハラタケ目に属する菌類の分類群です。この科には、伝統的に白色の胞子紋を持つきのこが多く含まれ、英語では「waxy caps」や「waxcaps」とも呼ばれています。この名称は、きのこのひだが薄く、全体が滑らかで蝋のような外観を持っていることに由来しています。特に鮮やかな色彩を持つ種が多く、北半球の草地や森、コケが繁茂する場所によく見られます。

特徴

ヌメリガサ科に含まれるきのこの特徴は、まず見た目に現れる滑らかなかさです。かさの表面はヌメリ気味で、見た目にも触った感触にも特徴がありますが、すべての種がこの特性を備えているわけではなく、場合によって見極めが難しいことがあります。かさの裏側にあるひだは、縁から直立またはやや垂れ下がった形で発達し、それぞれのひだの間には広い間隔が存在します。

顕微鏡下では、ヌメリガサ科の最も特徴的な点は長い担子器を持つことです。胞子は無色で、非アミロイド性、楕円形または細長い楕円形で、表面が平滑です。また、かさの表皮構造も様々で、オトメノカサ属を除いて一般的に匍匐性です。多くのヌメリガサ科のきのこは外生菌根を形成しますが、アカヤマタケ属は主に腐生菌として知られています。これらのきのこは、外観やひだの実質、そして生態的地位によっていくつかの属に分かれています。

分類歴

ヌメリガサ科は1835年にエリーアス・フリースによって初めて記載されました。当初はこの科をLimacium、Hygrocybe、Camarophyllusの三つの部類に分けたのですが、1871年にはこれらの部類がそれぞれ属に昇格されています。そして1876年にはその総称として「Hygrophores」という名が提案され、現在のヌメリガサ科という名称が成立しました。

現代の菌学者の間では、ヌメリガサ科に所属する種はヌメリガサ属のみとして扱うか、いくつかに分かれるのか意見が分かれています。L. R. HeslerやAlexander H. Smithが前者を支持しているのに対し、ロルフ・シンガーやマルセル・ボンなどは後者の立場を取っています。

さらに、分子系統学の分析では、子実体に粘性を持たない属がヌメリガサ科に分類されることが明らかになっており、Neohygrophorusはヌメリガサ属の中心的な群とは関連が薄いとされています。

近年もヌメリガサ科は多くの菌学者に認識されていますが、エーフ・アーノルドやコルネリス・バスは全体をキシメジ科に組み入れる見解を示しました。このため、ヌメリガサ科に関する分類は文献によって異なり、時には混乱を招くこともあります。

シンガーによるレポートでは、ヌメリガサ科が多系統的で、キシメジ科もまた多系統的であるため、統合することが逆に問題を生じるとの見解が示されています。ヤングの研究は、全体としての分類の時代遅れの考え方を批判しており、造成された分類学の問題を指摘しています。これらの観点から、ヌメリガサ科は興味深い対象であり、今後の研究においてもその解明が期待されています。

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