ヌルスルタン・ナザルバエフ

ヌルスルタン・ナザルバエフ：カザフスタンの初代大統領

ヌルスルタン・アビシュリ・ナザルバエフ（1940年7月6日生まれ）は、カザフスタンの政治家であり、初代大統領として約30年間にわたって国を率いました。彼は1990年4月24日から2019年3月20日まで大統領を務め、その任期中にカザフスタンの重要な発展に寄与しました。ナザルバエフはまた、国家安全保障会議議長としても影響力を持ち続けました。彼の国政における役割は、カザフスタンの独立と国際社会での地位向上において不可欠でした。

政治的経歴

ナザルバエフは、1991年にカザフスタンが独立した際の初代大統領に選出され、これ以降2019年まで数回の選挙で再選を果たしました。彼は自らの政権を「安定と経済発展」を掲げる開発独裁体制として運営し、カザフスタン・中国石油パイプラインや中央アジア・中国天然ガスパイプラインの建設を推進しました。これにより、カザフスタンは地域の経済成長の中心地となり、一人当たりの国内総生産でも中央アジアで最も高い水準に達しました。

彼の政治的手法は一方で国民の支持を集めることに成功したものの、異議を唱える声も少なくありませんでした。特に、選挙プロセスが競争原理を欠いているとの国際的な批評もありました。それでもなお、彼は2015年の大統領選挙で97.7%という圧倒的な支持を受け再選されています。

首都名の変更と退任

ナザルバエフの影響力は非常に大きく、彼の名前を冠した「ヌルスルタン」という名の首都が彼の退任後に制定されましたが、2022年にされる反政府デモを受け、再びアスタナに戻されることになります。この事例は、彼の政権が抱えていた問題と国民との乖離を反映した出来事でした。

引退後の生活

2019年3月、ナザルバエフは大統領職から退任した際、国家指導者の地位は保持すると宣言しました。その後も国家安全保障会議の終身議長として名目上の権力を維持していましたが、2022年1月にはトカエフ大統領によって解任され、政界からの完全な引退を表明しました。この退任は彼の政治生命の終焉を示す重要な転機となりました。

人物と家族

ナザルバエフはアルマトイ州の出身で、妻のサラと3人の娘、3人の孫を持つ家庭人でもあります。彼の長女は後継者としての期待を背負っていましたが、徐々にその立場を失っていきました。彼は教育者としても名を馳せており、様々な国際的な名誉を受けています。

国際的な影響

ナザルバエフはユーラシア主義を提唱し、ユーラシア経済連合の創設に寄与した重要な政治家です。また、中国の「一帯一路」政策にも参加し、国際的な知名度を高めました。彼の在任中、カザフスタンは国際舞台での存在感を増し、特にロシアと中国との関係を重視しました。

ナザルバエフはその政治的業績において評価される一方で、彼の政権が抱える問題もまた国際的な議論の対象となっています。彼の退任後も、その影響はカザフスタンの政治情勢や経済において色濃く残るでしょう。

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