ネイロス

ネイロス --- ナイル川の河神

ネイロス（古希: Νειλος, Neilos、英: Nilus）は、古代ギリシアの神話に登場するナイル川の河神です。彼は大洋神オーケアノスとテーテュースの子供の一人であり、その地位はナイル川の神として特に重要視されています。ネイロスは娘たちを持ち、彼の子孫たちは多くの神話や物語に関わっています。

概要

古代ギリシアの詩人ホメーロスは、ナイル川について初めて詩の中で言及した人物です。また、詩人ヘーシオドスの『神統記』において、ネイロスはオーケアノスの子供たちの中で最初に名前が挙げられています。ヒュギーヌスでは、トラーキアの川神ストリューモーンの後に言及されるなど、ネイロスの存在は他の神々と密接に関連しています。

歴史家のシケリアのディオドーロスは、ナイル川の名がエジプト王ネイレウスに由来すると述べています。古代エジプトでは、ナイル川に関する多くの考え方が存在しました。例えば、アトラス山の麓には三つの泉があり、その水は消えてしまうものでしたが、再び現れるとの伝説がありました。メソポタミアのエウフラテス川がナイル川になるという話や、ナイル川は大陸を取り巻くオーケアノスから流れているとも考えられていました。このように、古代人は自然現象や神々との関連を深く考えていました。

また、エジプト人によれば、オーケアノスとはナイル川そのものであり、神々が誕生したのもこの川の近くでした。ナイル川の増水は、オシリスの死を悲しむ女神イシスの涙によって引き起こされるとも言われています。

ネイロスの家族

ネイロスは多くの娘を持ち、その中でもメムピスが特に知られています。メムピスはイーオーやゼウスの子であるエパポスと結婚し、子供としてリビュエーを産みます。リビュエーは海神ポセイドーンとの間に双子を授かります。さらに、この子孫からは双子のダナオスとアイギュプトス、そして他の神々が誕生しました。特にアイギュプトスはネイロスの娘エウリュッロエーと結婚し、50人の息子を持ち、ダナオスもまた50人の娘を持ちました。これらの神話は、古代ギリシアとエジプトの文化的交流を反映しています。

また、シケリアのディオドーロスによると、あるエジプトの王が娘の名に由来する都市メムピスを建設しました。この王はナイルの河神であるネイロスから恋を受け、牡牛の姿で彼女と交わることでアイギュプトスをもうけたと言われています。

ネイロスの神像

ナイル川の神であるネイロスの像は古代から数多く制作されてきました。パウサニアースによると、他の河神の像が白い大理石で作られたのに対し、ネイロスの像はエティオピアを流れるという背景から黒い石で制作されたとされています。このような宗教的な背景や芸術倫理は、古代ギリシアの信仰の深さや神々への思いを物語っています。

ナイル川とその河神ネイロスは、古代の文化や神話において重要な位置を占めており、今日に至るまで多くの人々に影響を与えています。神話におけるその存在は、現代においても研究や学問の対象として語り継がれています。

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