ネクロ (ストリートファイター)

ネクロ

カプコンが開発した2D対戦型格闘ゲーム『ストリートファイターIII』シリーズに登場するキャラクターです。

概要

ロシアの極寒の地に生まれたイリヤという名の青年が、秘密結社の手によって人体改造を施され、「ネクロ」というコードネームを与えられた姿です。貧しい村の三男として育ち、ソ連崩壊後の混乱期に自由と富を求めて故郷を出たところ、ギルが率いる秘密結社に甘い言葉で勧誘されました。しかし、彼を待っていたのは、ゴムのように伸縮する身体と、全身から電撃を放つ能力を得るための過酷な改造でした。組織に利用されているだけだと悟ったネクロは、同じく囚われの身だった少女エフィーと共に脱走を企てます。シリーズを通して、組織の追手から逃れるための果てしない逃避行が描かれます。

外見

ネクロの肌は紫色を帯びた白色で、常人離れした長い腕を持っています。肩と額には赤い矢印のような独特のマーキングが施されています。服装は、紫色のレザーを思わせる質感のズボンにガードルを着用し、肩周りには金属製の円形プレートがナットで固定されています。アレックスをも凌ぐ長身ですが、常に猫背のため、身長ほど大きくは見えません。

ストーリーとエンディング

ネクロのエンディングは、どのシリーズにおいても恋人であるエフィーとの逃避行がテーマとなっています。『ストリートファイターIII』（1作目）と『2nd IMPACT』では、物語の途中でギルによって封印されるも、エフィーによって救い出され、二人でバイクに乗って追手から逃れます。『3rd STRIKE』では、追われる身として列車の上に乗り、追手から逃れるために谷底へ向かってジャンプします。この時、誤って奈落の底へ落ちそうになったエフィーを、改造された伸びる腕で間一髪助け出し、自らの体に初めて感謝するという印象的なシーンが描かれています。

戦闘スタイル

秘密結社によるサイバー技術を用いた脳への直接的な刷り込みにより、人体改造で得た能力を最大限に活かした格闘技術を身につけています。身体をゴムのように自在に伸縮させる能力は、他作品のダルシムと共通するコンセプトであり、人間の常識を超えたトリッキーな動きを生み出します。腕や脚を伸ばして攻撃するだけでなく、全身をゴムパチンコのように収縮させてから相手にぶつけたり、通常なら不可能なほど体を捻った状態から強烈なパンチを繰り出すなど、予測不能な攻撃を得意とします。長いリーチを活かした中距離から遠距離での戦いが得意ですが、動作が大振りで隙が大きいため、素早い動きの相手には苦戦を強いられます。また、攻撃力があまり高くないため、長期戦になりやすく、プレイヤーには高い集中力が求められるキャラクターと言えます。『3rd STRIKE』では通常技のリーチがさらに延びた反面、攻撃を外した際の隙も増え、キャラクター特性がより明確になりました。

ホームステージ

『1st』および『2nd IMPACT』ではロシアのシベリア鉄道沿線、そして『3rd STRIKE』ではロシア郊外の建築現場が、ネクロのホームステージとして設定されています。

その他の登場作品や関連情報

『ストリートファイターV』本編にはプレイヤーキャラクターとして参戦していませんが、公式ウェブサイトの「シャドルー格闘家研究所」内の「キャラ図鑑」にて、彼の詳細なプロフィールが公開されています。また、『ストリートファイターV』で期間限定配信されたステージ「Spooky Arena」の背景に、エフィーと共に姿を見せています。

関連キャラクター

エフィー

ギルの組織に囚われていた少女で、ネクロの本名「イリヤ」と呼び合う恋人関係です。全身に棘の装飾がある赤い服や、赤いリボン、赤いグローブを身につけ、金髪のツインテールに、目の下には濃い隈が特徴的です。『3rd STRIKE』のエンディングでは、ネクロと同様に人体改造を受けていたことが示唆されていますが、具体的な能力は不明です。『2nd IMPACT』以降は、試合開始前や勝利ポーズのデモにも登場し、ネクロと共にポーズをとる姿が見られます。『グレードジャッジシステム』の採点キャラクターとしてもランダムで現れることがありますが、その際はネクロを贔屓することはありません。「シャドルー格闘家研究所」の「キャラ図鑑」に掲載されているイラストでは、チェーンソーを手にしています。

主な技

ネクロは、伸縮自在の体と電撃能力を活かした多様な技を持ちます。

通常技: 立ち状態の通常技は、レバーの入力方向（前または後ろ）によって技が変化する特徴があります。
特殊技: 空中で錐揉み回転しながら斜め下に蹴り出す「ドリルキック」などがあります。『3rd STRIKE』で入力方法が変更された技も存在します。
ターゲットコンボ: 特定の通常技を連続して繋げるコンボ。シリーズによって使用できる技が異なります。
投げ技: 相手を掴んでゴムのように伸びて戻る勢いで攻撃する「ショルダーアタック」、プロレス技のような「フランケンシュタイナー」、そして伸びる腕で高角度から投げ捨てる「ジャーマンスープレックス」などがあります。「ジャーマンスープレックス」は特定の状況や技から派生する高威力の投げです。
必殺技: 体を捻り勢いをつけて繰り出す連続フック「トルネイドフック」、全身から電撃を放つ対空技にもなる「電磁ブラスト」、身を丸めてからの下段ガード不能踵落とし「ライジングコブラ」、跳び上がりながら腕を伸ばして攻撃する「フライングバイパー」（飛び道具を避けつつ攻撃可能）、相手の足元を掴んで投げ飛ばす打撃投げ「スネークファング」（立ちガード不能で、背後から決めるとジャーマンスープレックスに変化）などがあります。これらの技には強化版のEX必殺技が存在します。
スーパーアーツ (SA):
SA1 - 超電磁ストーム: 「電磁ブラスト」の強化版で、相手を引き寄せる効果もあります。作品によってゲージのストック数と長さが異なります。
SA2 - スラムダンス: 連続投げ技。ジャーマンスープレックスからフランケンシュタイナーへと繋ぎます。威力は高いですが、空振りするとスーパーアーツゲージを全て消費します。ストック数は全シリーズで1本です。
SA3 - エレクトリックスネーク: 地面を這う電撃を放つ飛び道具系の技です。威力は控えめですが、相手をスタンさせる能力（スタン値）が高いのが特徴です。ストック数は全シリーズで2本、ゲージの長さは『3rd STRIKE』でやや長くなっています。
パーソナルアクション: 顎を掴んで下に伸ばし、舌を波打たせる挑発行為です。舌には攻撃判定があり、ボタンを押し続けることで持続します。このアクションを行うと、次に繰り出す投げ技以外の攻撃の威力が一度だけ上昇します。

声優

ネクロの声を担当した声優は、作品によって異なります。『1st』と『2nd IMPACT』ではマイケル・サマーズ氏、『3rd STRIKE』ではローレンス・ベイン氏が務めました。

余談

『2nd IMPACT』では、ユリアンのエンディングに多数の色違いのネクロが登場します。また、CPU戦でネクロが最後の対戦相手だった場合、ヒューゴーのエンディングでタッグチーム「ザ・サンダーボルト」（キャッチコピー「超電磁エイリアン」）を結成するというユニークな展開が用意されています。『3rd STRIKE』に登場する人造人間キャラクター「トゥエルヴ」は、ネクロを基にして作られたという設定があり、両者には専用の対戦前イントロが存在します。『MARVEL VS. CAPCOM 2』では、ダルシムを弱キックで選択するとネクロに似たカラーリングになります。さらに、『SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ』シリーズでは、キャラクターカードとして登場しています。

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