ネコナデ

『ネコナデ』 作品概要

『ネコナデ』は、2008年にテレビドラマとして制作・放送された作品で、全12回にわたって物語が展開しました。同年6月28日には、テレビドラマ版を再構成・一部設定変更した劇場版が公開されています。さらに、メディアミックスとして竹書房から小説版（2008年6月19日発売）と、KUJIRAによる漫画版（『まんがくらぶ』2008年7月号より連載）も刊行されました。

テレビドラマ版

あらすじ
IT関連企業「デジタルドラグーン」の人事部長である鬼塚汰朗（45歳、通称「鬼汰朗」）は、日々の業務による極度のストレスから胃痛に悩まされる孤独な人物です。冷静沈着に見えても、内心では疲弊しきっていました。そんな彼が、ひょんなことから一匹の子猫を拾い、共に生活することになります。子猫との触れ合いを通じて、鬼塚はそれまで感じることのなかった癒しを得て、自身の心境や周囲との関係に変化が生じていく物語です。

主なキャスト
主人公の鬼塚汰朗を演じたのは小木茂光（少年時代：川口大介）です。彼に癒やしをもたらす子猫のトラ役は、生後4ヶ月のスコティッシュフォールドで、ZOO動物プロ所属の猫が務めました。鬼塚家の人々として、妻の澄子を山下容莉枝、娘の早苗を金崎智子、息子の汰一朗を小川光樹が演じています。職場であるデジタルドラグーンの同僚や部下には、人事部社員の金井響子（ちすん）、新卒研修員の山田亜佐美（清水美那）や菅沼君子（安間里恵）、開発部課長の木下満（榊英雄）、総務部部長の柳下信二（永倉大輔）、そして社長の竜崎政太郎（峰岸徹）らが名を連ねます。その他、ペットショップ店員の市村景虎（高橋直純）や小泉みすず（NANATO）、獣医の皆川かもめ（明花）など、物語に関わる個性的なキャラクターが登場します。

スタッフ
監督は亀井亨、原案・脚本は永森裕二が手掛けました。脚本には他に松野出、野澤弘之、俵法子、高橋悠も参加しています。音楽は野中“まさ”雄一が担当し、オープニングとエンディングテーマは高橋直純の楽曲が使用されました。

放送情報
本ドラマは、プロデューサーなど一部スタッフに東名阪ネット6各局が関与していましたが、これらの局は製作局としてクレジットされていませんでした。その後、『ねこタクシー』以降の動物ドラマシリーズでは製作局として参加するようになります。その他、長野放送、秋田放送、山陰中央テレビ、北陸放送などでも単発で放送されました。

映画版

あらすじ
劇場版は、テレビドラマ版の物語をベースにしつつ、一部の設定や登場人物名に変更が加えられています。倒産寸前の会社「デジタルドラゴン」の再建を託された人事部長、鬼塚太郎が主人公です。冷徹なリストラ計画を遂行する「鬼」として社内外から恐れられ、清廉潔白な企業戦士であろうとする彼は、仕事でも家庭でも甘えを許しません。しかし、社長からの人員削減命令に胃を痛めていました。そんな彼が、夜の公園で一匹の捨てられた子猫と出会い、密かに飼育を始めたことから、頑なだった心がゆっくりと変化していく様を描きます。

主なキャスト
主人公の鬼塚太郎を演じたのは大杉漣です。彼に寄り添う子猫のトラは、テレビドラマ版と同様にZOO動物プロ所属のスコティッシュフォールド（生後2ヶ月）が演じました。このトラは、撮影終了後、大杉漣氏に実際に引き取られ、彼の家族となったという心温まるエピソードがあります。鬼塚家の人々として、妻の静子を原日出子、娘の真由を矢木初季が演じています（テレビドラマ版から家族構成が変更されています）。職場の人々では、鬼塚をサポートする人事部員の君島凛子（青山倫子）、研修社員の田中亜里沙（黒川芽以）らが登場します。田中亜里沙はテレビドラマ版の山田亜佐美にあたる人物で、リストラされた姉を持つという背景が加わっています。その他、ネコオークションの女を友情出演のもたいまさこが演じるなど、個性的な俳優陣が出演しています。

スタッフ
監督は大森美香、原案・脚本はテレビドラマ版と同じく永森裕二が担当しました。音楽は遠藤浩二、主題歌はつじあやのが歌う「頼りない天使」です。

その他のメディア展開

前述の通り、竹書房から小説版とKUJIRAによる漫画版が刊行されており、幅広い層に『ネコナデ』の世界観が届けられました。

まとめ

『ネコナデ』は、仕事の重圧と孤独に押しつぶされそうな主人公が、純粋な子猫との触れ合いによって心の壁を打ち破り、人間的な温かさを取り戻していく姿を丁寧に描いた作品です。テレビドラマ版と映画版で設定やキャストに違いはありますが、根底にある「猫による癒やしと再生」というテーマは共通しており、多くの観客や読者に感動を与えました。特に、映画版での大杉漣氏とトラの間に生まれた実際の絆は、作品のテーマをより一層深めるものと言えるでしょう。猫を主題とした作品のファンにとって、見逃せない一作です。

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