ネバダ時間

ネバダ州の時間帯

ネバダ州では、州内の時間を定める際に、複数の時間帯が用いられています。その大部分においては太平洋時間が採用されていますが、州の東端部、特にユタ州やアイダホ州との州境に近い地域では、例外的に山岳部時間を使用する区域が存在します。本稿では、ネバダ州内で適用される時間帯の概況と、地域による差異について詳しく解説します。

主として適用される時間帯：太平洋時間

ネバダ州の広範なエリアでは、標準時として太平洋標準時（PST）が適用されています。この標準時は、協定世界時（UTC）から8時間遅れたUTC-8のオフセットを持っています。年間の一部期間には夏時間が実施され、その際には時刻が1時間進められ、太平洋夏時間（PDT）となります。太平洋夏時間のオフセットはUTC-7です。ネバダ州の主要都市であるラスベガスやリノを含む州の中央部から西部にかけての広い範囲で、この太平洋時間が採用されています。この時間帯は、カリフォルニア州をはじめとするアメリカ合衆国西海岸の多くの地域と共通しています。

夏時間の開始および終了は、連邦法に基づき、通常、3月の第2日曜日の午前2時に始まり、11月の第1日曜日の午前2時に終了します。この期間、太平洋時間を使用するネバダ州内の地域では、標準時よりも1時間進んだ夏時間で生活が営まれます。

特例として存在する時間帯：山岳部時間

ネバダ州のごく一部地域、具体的にはエルコ郡の一部では、特例として山岳部時間が採用されています。これらの地域は、ユタ州やアイダホ州といった山岳部時間を使用する州に隣接しており、越境する人々の往来や経済活動における利便性を考慮して、隣接州と時間帯を合わせていると考えられます。

山岳部時間においては、標準時として山岳部標準時（MST）が用いられます。これは協定世界時（UTC）から7時間遅れたUTC-7のオフセットです。夏時間期間中は、時刻が1時間進められ、山岳部夏時間（MDT）が適用されます。山岳部夏時間は、協定世界時から6時間遅れたUTC-6のオフセットとなります。山岳部時間は、太平洋時間と比較して常に1時間進んだ時刻を示します（標準時中はUTC-7 vs UTC-8、夏時間中はUTC-6 vs UTC-7）。

ネバダ州内で山岳部時間を採用している主な地域は以下の通りです。

ユタ州との境界地域（公式採用）

ウェスト・ウェンドーヴァー (West Wendover): ユタ州のウェンドーヴァーと物理的にも一体化した都市であり、ユタ州との結びつきが非常に強いため、ユタ州と同じ山岳部時間が正式な時間帯として採用されています。これにより、州境を跨いでの社会経済活動が円滑に行われています。

アイダホ州との境界地域（非公式採用）

以下の地域では、州の公式な布告によるものではありませんが、隣接するアイダホ州など周辺地域の影響を受け、便宜的に山岳部時間が非公式に使用されています。

ジャックポット (Jackpot): アイダホ州から多くの観光客が訪れるこのカジノリゾート地では、来訪者の便宜を図り、アイダホ州の時間帯である山岳部時間に合わせて運営されています。
オワイヒー (Owyhee) および ダック・バレー・インディアン居留地 (Duck Valley Indian Reservation): これらの地域はアイダホ州に近接しており、特にダック・バレー・インディアン居留地はアイダホ州とネバダ州にまたがっているため、隣接地域との交流や部族の活動において、山岳部時間を使用することが現実的です。
マウンテン・シティ (Mountain City) および ジャービッジ (Jarbidge): これらの集落もオワイヒーやアイダホ州との境界に比較的近い位置にあり、周辺地域との整合性や便宜のため、非公式に山岳部時間を使用していると見られます。

標準時間帯データベースへの登録

国際的に時間帯情報を管理しているIANA（Internet Assigned Numbers Authority）のtz database（タイムゾーンデータベース）には、ネバダ州の主要な時間帯区分に関する情報も収録されています。これにより、世界中のコンピュータシステムなどがネバダ州の正確な地域別時間帯を認識し、適切に処理することが可能となっています。

まとめ

ネバダ州の時間帯は、その大部分で太平洋時間が採用されている一方で、東部の州境地帯では、隣接するユタ州やアイダホ州との関係から山岳部時間が例外的に使用されています。これらの例外は、特定の地域の地理的・経済的特性に応じて、住民や来訪者の利便性を考慮した結果です。ネバダ州の時間帯区分は、単一の基準に留まらない地域性の影響を受けた多様な様相を示しています。

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