ネマニッチ朝

ネマニッチ朝：中世セルビアの隆盛と変遷

ネマニッチ朝は、1166年から1371年までセルビアを支配した中世の王朝であり、ヴカノヴィッチ王朝の分家であるステファン・ネマニャを始祖とします。歴代君主はステファンの名を自身の名、または統治名として用いることを慣例としました。

ネマニッチ朝の興隆

当初、大公としてセルビアを統治していましたが、1217年にステファン・ネマニッチが戴冠し王国となり、1219年にはセルビア正教会が設立され、国家としての基盤を確立しました。1346年には、ステファン・ドゥシャンがセルビア人とギリシャ人の皇帝として戴冠し、セルビア大司教は総主教区に昇格しました。

セルビア帝国の成立と最盛期

ステファン・ドゥシャンの治世下で、セルビアは領土、政治、経済の面で最盛期を迎えました。ビザンツ帝国の後継者と目されるほど強大になり、バルカン半島における最も強力な国家としての地位を確立しました。ドゥシャンは、ドゥシャン法典として知られる包括的な憲法を制定し、新たな交易路を開拓し、国家経済を強化しました。ネマニッチ朝の支配と、セルビア正教会による支援は、セルビア中世の政治的アイデンティティを深く形成しました。

衰退と終焉

しかし、1355年にステファン・ドゥシャンが急死すると、セルビア帝国は徐々に衰退に向かいます。彼の息子であるステファン・ウロシュ5世は слабо（弱い）と称され、帝国は封建的な分裂へと進みました。さらに、オスマン帝国の侵攻という新たな脅威に直面し、帝国の崩壊を加速させました。1371年にステファン・ウロシュ5世が後継者を残さずに亡くなると、ネマニッチ朝によるセルビアの支配は終わりを迎えました。

王朝終焉後のセルビア

ネマニッチ朝の血を引く者は、母系を通じていくつかのセルビアの家系に受け継がれました。王朝の終焉後、セルビア帝国は崩壊し、各地の領主が独立しました。

背景

セルビア人は、ビザンツ帝国の近くに位置するスラヴ人として、スクラビニアと呼ばれる地域に居住していました。8世紀にはヴラスティミル朝がセルビア公国を建国し、9世紀にはキリスト教が国教として採用されました。10世紀半ばには、アドリア海沿岸に広がる部族連合へと発展しましたが、ヴラスティミル朝の終焉後、国家は分裂しました。その後、ビザンツ帝国の支配を経て、11世紀にヴカノヴィッチ王朝が反乱を起こし、セルビア大公国を再興しました。1166年、ステファン・ネマニャが王位に就き、ネマニッチ朝によるセルビア支配が始まったのです。

ネマニッチ朝の君主一覧

ステファン・ネマニャ (1166-1196)
Vukan Nemanjić (1202-1204)
ステファン・ネマニッチ (1196-1202、1204-1228)
ステファン・ラドスラヴ (1228-1233)
ステファン・ヴラディスラヴ (1233-1243)
ステファン・ウロシュ1世 (1243-1276)
ステファン・ドラグティン (1276-1282、1282-1316)
ステファン・ウロシュ2世ミルティン (1282-1321)
ステファン・コンスタンティン (1321-1322)
ステファン・ウロシュ3世デチャンスキ (1322-1331)
ステファン・ウロシュ4世ドゥシャン (1331-1355)
ステファン・ウロシュ5世 (1355-1371)

その他の君主

Đorđe Nemanjić ゼタ王 (1208-1243)
Stefan Vladislav II スレム王 (1321-1325)

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