ステファン・ラドスラヴ

ステファン・ラドスラヴ：セルビア王国の盛衰と家族の絆

ステファン・ラドスラヴ（1192年頃 - 1235年以降）は、13世紀前半のセルビア王国を統治した王です。父であるステファン・ネマニッチと、ビザンツ皇帝アレクシオス3世アンゲロスの娘エウドキア・アンジェリーナの間に生まれました。

生い立ちと家族

ラドスラヴの母エウドキアは、姦通を理由に父ネマニッチによって追放されたとされています。この出来事は、当時のビザンツ帝国の影響力の低下を示唆しており、ネマニッチがビザンツ帝国との関係よりも、教皇インノケンティウス3世との交渉を優先した背景があったようです。父の再婚により、ラドスラヴには異母兄弟として、後のセルビア大司教サワ2世、ステファン・ヴラディスラヴ、ステファン・ウロシュ1世がいました。

ザクルミアの支配者として

年代記によれば、ラドスラヴは父の治世中にザクルミア地方の支配者であったとされています。しかし、この記述には不明な点も多く、ザクルミアでの相続争いにネマニッチ家が介入した背景には、ヴカン・ネマニッチの勢力拡大を阻止する意図があったと考えられています。ラドスラヴをザクルミア東部の支配者に据えることで、ネマニッチ家はより強固な支配体制を築こうとした可能性があります。

王としての統治と退位

父の死後、ラドスラヴは王位を継承し、叔父であるサワ大司教によって戴冠しました。しかし、エピロス専制侯テオドロス1世コムネノス・ドゥーカスの娘である妻の影響を受け、ギリシャ文化に傾倒したことが、セルビア貴族の反感を買う一因となったようです。義父テオドロス1世がブルガリア皇帝に敗北すると、ラドスラヴの立場はさらに弱まり、1233年には貴族の反乱によって国を追われることになりました。

退位後の生活

ラドスラヴは妻と共にドゥブロヴニクへ逃亡し、王位奪還を試みましたが失敗。その後、エピロスの支配者ミカエル2世アンゲロス・コムネノスのもとに身を寄せました。一時は妻に捨てられるという不幸にも見舞われましたが、後に夫婦はセルビアへ戻り、修道士として余生を送りました。出家後の名前はジョヴァン。弟のウラジスラフが王位を継承した後も、平穏な生活を送ったと伝えられています。

結婚と子孫

ラドスラヴは当初、ミカエル1世コムネノス・ドゥーカスの娘テオドラ・コムノネスと婚約していましたが、後にテオドロス・コムネノス・ドゥーカスの娘アンナ・ドゥカイナ・アンジェリーナと結婚しました。この結婚によって子供が生まれたという説もありますが、確かな資料は見つかっていません。

ステファン・ラドスラヴの生涯は、セルビア王国の激動の時代を象徴しています。王位を巡る争い、外国勢力との関係、そして家族の絆。彼の人生は、中世ヨーロッパの政治と社会の複雑さを物語っています。

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