ネムロコウホネ

ネムロコウホネについて

ネムロコウホネ（根室河骨、学名：Nuphar pumila）は、スイレン科コウホネ属に属する水草の一種です。日本ではエゾコウホネとも呼ばれ、その美しい黄色の花は夏に見られます。この植物は、主に水中に沈んでいる沈水葉と水面に浮かぶ浮水葉を持っています。浮水葉は6〜17cmの長さで、葉柄は細く、優雅な姿をしています。

特徴

ネムロコウホネは多年生の水生植物で、基本的には沈水葉と浮水葉を有しており、まれに抽水葉もつけることがあります。根茎の直径は1〜3cmです。沈水葉は薄い膜質で、広卵形や円心形をしており、サイズは8〜15cm × 8〜13cmです。一方、浮水葉は卵形から広卵形で、基部が深く切れ込んだ形状をしています。葉裏には細かい毛が生えていることもあります。

花は夏、特に日本では7月から8月にかけて咲き、直径は1〜4.5cmあります。花柄は長く、40〜50cmの長さで、黄色い萼片が5枚あり、花弁は多数、黄橙色です。雄しべは黄色の葯を持ち、柱頭盤は通常は黄色ですが、赤色の個体も確認されています。果実は一般的に緑色で、卵形またはつぼ形をしており、表面は滑らかで、複数の種子を含んでいます。

分布・生態

ネムロコウホネは、ユーラシア北部に広く分布しています。具体的には、ヨーロッパやシベリア、極東ロシア、中国、朝鮮半島、台湾、そして日本の北海道や本州北部に生育しています。主に湖や湿原の池塘など、水のある場所で見られます。

保全状況評価

ネムロコウホネは、日本の環境省によって絶滅危惧II類（VU）に指定されています。日本では生育環境の減少により、基変種である狭義のネムロコウホネと変種オゼコウホネの両方が絶滅危惧II類に分類されています。また、都道府県ごとに絶滅危惧種に登録されているケースもあります。例えば、青森県と秋田県では絶滅危惧I類、北海道や福島県では絶滅危惧II類に指定されています。

分類

本種には亜種が認められており、特に変種オゼコウホネがその一つです。これに加えて、セイヨウコウホネとの雑種も存在し、Nuphar × spennerianaという名称で呼ばれています。日本では、コウホネとの交配によりホッカイコウホネという別の雑種も形成されています。

まとめ

ネムロコウホネは美しい花を持つ水生植物であり、その生育環境は今や減少しつつあります。観賞植物としても人気があり、薬用植物としえての利用もされているこの植物について、理解を深めることが重要です。保護活動が進められる中、ネムロコウホネの未来を守るために、私たち一人一人ができることを考えるべきです。

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