ネルソン級戦艦

ネルソン級戦艦について

ネルソン級戦艦（Nelson class battleship）は、ワシントン海軍軍縮会議に基づき、イギリス海軍が建造した超弩級戦艦です。この艦級は、イギリスが条約により取得した16インチ砲を装備する戦艦を含む2隻で構成されています。これらの艦は、1927年に竣工したネルソンを起源としており、同級の設計と建造は当時の海軍力の均衡を考慮したものでした。

設計の経緯

1922年、イギリスはワシントン条約において、当初の艦艇計画を見直さなければなりませんでした。大日本帝国が未竣工の長門型戦艦を引き合いに出し、英米に対して6割を超える日本の艦船保有を制限するための妥協案の結果、イギリスとアメリカも新たに戦艦の建造が認められました。イギリス海軍はネルソン級戦艦を設計する際に、前回の戦訓を考慮し、主砲を艦首に集中させる独自のスタイルを採用しました。

主な特徴

ネルソン級は、同じく排水量で制約を受けなければならなかったものの、攻撃力と防御力の強化に重点を置いていました。この設計により、16インチ砲を3基、艦首に集中的に配置しましたが、その代償としてスピード面では一般的な基準に比べて劣ってしまいました。具体的には、最大速力が23ノットと設定されていました。

また、艦形は平甲板型に設計され、艦首から主砲が真っ直ぐに火を向けることができるような配置がなされていました。ただし、主砲塔の集中配置によって、艦尾方向への発砲が制限され、後方に向けた攻撃能力は低下してしまう問題も抱えていました。

評価と運用

ネルソン級戦艦は、イギリス海軍が期待したような万能型戦艦にはなりませんでした。集中防御による特殊な船体形状と、運動性の悪さが指摘され、特に低速時には艦隊での運用が困難でした。また、爆風による艦橋への影響も問題視され、実際には後方射撃を控えることが求められました。

さらに、装甲の設計も様々な課題を抱えていました。もちろん、艦自身は他国の戦艦と比較して優れた防御力を持ちながら、特定の条件下では脆弱性を示すことがありました。

同型艦とその後の影響

ネルソン級には「ネルソン」と「ロドニー」の2隻が存在し、この艦級の設計はその後のイギリス戦艦の設計へ影響を与えることになります。特に、主砲の配置が他国においても一部採用されましたが、多くは後部に配置した戦艦が主流となりました。

ネルソン級戦艦は、その設計過程や建造時の要素から多くの教訓を残し、それ以降の艦艇設計に多岐にわたる影響を及ぼしたのです。このように、ネルソン級戦艦は海軍史における重要な位置を占めています。

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